Outline of Annual Research Achievements |
○研究目的 結果と考察を分けて考えさせることは大切にされているが, データからの結果の読み取りは重要視されていない。これは, グループ実験または演示実験が多く, 子どもが手にするデータが少なく, そこからの読み取りをするため, データの傾向まで読み取って考察する必要がないということが考えられる。また, 少ないデータからの考察であるため, 考えの対立や誤差に対する考察なども行われず, 結果と考察を分けているものの, 同じ内容をなぞるだけになってしまうと考える。そこで, 問題解決の中で, よりデータにこだわる授業を行うことで, 子どもに科学的な見方・考え方を養うことができると考えた。 ○研究方法 まず, 子どものデータの数を保証するため, 実験を「一人一実験」で行い, 多くの実験結果, つまり, データを得させる。これを, 全体で共有できるよう, 大きな表にシールを用いて可視化する。そうして完成した集約表は, 同じ実験をした仲間の実験結果であることから, 再現性と客観性を兼ねそろえたデータとなる。 また, 多くの結果とは離れた結果も出てくる場合も考えられ, どちらが正しいか, なぜそのようなことが起こるのか, といった議論になり, より深い考察になると考えた。その際, 誤差と捉えるべきなのか, 実験の失敗と考えるべきなのかといった思考が生まれ, 昨今研究が盛んになっている批判的思考の育成にもつながると考えた。 ○研究成果 一人一実験で行ったことから, 多くのデータを得ることができ, 再現性と客観性に支えられた考察を行えた。それによって, 自分だけでなくみんなで導き出したのだという自覚から, より強固な結論を得ていた。また, 多くのデータを得ることで, 「同じくらい外れているから, これは実験手順に不備があるはず」という批判的な思考を用いたり, 「温度に多少のズレはあるが全体的な傾向はそろっている」ということから誤差と判断したりして, 考察を進めていくことができた。
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