Outline of Annual Research Achievements |
研究目的 「生物多様性国家戦略2012-2020」は平成24年9月28日に閣議決定された。平成25年9月には, 全国の小学校の85%で自然に親しむ宿泊活動が実施されているほか, 全国各地の環境教育の優れた実践の発表及び情報交換を行う場として環境学習フェアの開催や, 米国の提唱するGLOBE計画に参加しGLOBE協力校の指定など, 着実に取組みを進めていることが報告されている。広島大学附属福山校では, こどもエコクラブを組織し, 広島・岡山県をまたいで地域環境・地球環境に関する教育活動を展開してきた。しかし, これまでの環境教育活動は, 当校の教員・生徒が学校から地域に出張する形で行われるものだけであり, 当校に招き入れ学習環境を提供するものではなかった。このことは, 生物多様性国家戦略2012-2020の基本戦略である「生物多様性を社会に浸透させる」こと上で重大な地域環境教育の場の損失であると考える。そのため, 本研究では, 学校にある環境教育資源を地域に還元するための研究を行うことを目的とした。 結果 校内樹木約200種をマッピングした理科の副教材を完成させ, 鋭意利用することができた。加えて, web上に公開する季節変動に応じた樹木写真のデータベースを整備することができた。この整備活動は学習者の手によりなされるように計画することで, 学習者が樹木に慣れ親しむことができる, 新たな学習モデルを確立することができた。また, データベースにアクセスするためのQRコードを樹木プレートとしてフィールドに掲げ, その情報をスマートグラスなどのウェアラブル端末で読み取ることで樹木や万葉植物の特性を即時提供可能にする環境整備を果たすことができた。特に, 万葉植物では, 特性以外にも万葉歌などを必要に応じて簡便に情報が提示することを可能にした。今後, 校内植物の見学を目的に来校する地域住民をはじめ, 来校する保護者, 生徒らの学習深化させるために利用されることが期待され, 実際にweb閲覧して来校する地域住民もいる。その上, この学習教材はweb上にあるため, 地域利用だけでなく国際利用も謀る企図することができる。今後の課題は, データベースの拡充と樹木学習モデルの洗練, ウェアラブル端末での読み取り機能向上であり, さらにはAugmented Reality技術を利用したものへの適用を検討する。
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