Outline of Annual Research Achievements |
1 簡易分光器の製作 (1) 対物分光器 カメラレンズの先端に透過型回折格子を取り付けただけの, シンプルな構造である。特徴は, 高感度ビデオカメラに明るいレンズを組み合わせ, 微弱な光での分光観測を可能にした。 (2) スリット分光器 スリットの部分を透過した光を, コリメータレンズで平行光にし, 透過型回折格子で分散させる構造である。そして, 高精度のカメラ用交換レンズと天体用冷却CCDカメラを使い, 測光精度を高めた。 2 主な観測対象 (1) 対物分光器 点光源であればスリットがなくてもスペクトルが得られるので, 流星の分光観測への活用を考えた。 (2) スリット分光器 スリット式で, 太陽大気や地球大気のスペクトル線を捉える月や太陽の分光観測を考えた。 3 解析手順 (1) 対物分光器 必要な部分の動画データを取り出し, 一コマずつ“すばる画像解析ソフトマカリ(国立天文台作成)”で扱えるFITS形式に変換する。そして, ダーク処理およびフラット処理をして, 測定できるデータにする。 (2) スリット分光器 天体用冷却CCDカメラからは, 直接FITS形式でデータが得られるので, ダーク処理のみ行い, 測定できるデータにする。 4 課題研究のテーマ案 (1) 対物分光器 捉えられるスペクトルは, 流星群のときでも1晩で多くて数個である。しかし, データが増えれば, 以下のような研究テーマがある。 「流星の発光成分は何か」, 「流星の速度と発光成分の関係」, 「流星群の違いと発光成分の関係」など (2) スリット分光器 高分散のスペクトルは得られないが, 太陽や月, 青空や夜空の分光観測から, 地球大気による吸収・散乱の影響が得られる。また, 雲や植物などのスペクトルと比較して, 次のような研究テーマがある。 「太陽・月の高度と地球大気分子の吸収量」, 「エーロゾルによる散乱」, 「物質の色と分光反射率」など
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