家庭や学校現場でも扱いやすい3Dプリンターが市販されはじめ、学校教材としても3Dプリンターの活用により地学に対する生徒の興味・関心を高めることができると期待される。しかし、現在までの3Dプリンターの教材としての活用方法は、小さな立体模型を作る、作品を制作するなどに限定されており、地学分野の授業において積極的に活用された報告は少ない。そこで、本研究では、最近市販され始めている比較的大きな立体模型が作れる3Dプリンターを積極的に活用し、従来の地学教材とは異なる活用法の地学教材を開発し、実際の授業で活用しその教材の授業効果について検討することを目的とした。 本研究では、様々な地学模型について材質をかえて複数回作成し、3D教材として使用できる方法について検討を重ね、地学授業で使用できる方法について検討し、実際の授業で使用し教材としての評価を試みた。 研究結果の1つとして、実際の授業で国土地理院ウェブサイト(http://cyberjapandata. gsi. go. jp/3d/)で公開されている3Dデータを用いて、生徒の自宅付近の立体模型(15cm×15cm)を3Dプリンターで作成し、その立体地図に水性ペンで河川・幹線道路・鉄道等を記入させ、地域の防災マップとの比較を行わせた。この結果、自宅付近の地形の構造がよく観察できることから生徒が興味・関心を持って取り組む姿が見られたとともに、自宅付近の河川・幹線道路・鉄道等が地形と関連していることに気づきながら取り組む生徒が多くみられた。 3Dプリンターでの地学教材作成の問題点として、立体模型の作成までに時間がかかることが挙げられる。しかし、本研究の結果、生徒が実際に自分の手で触れながら作業できる教材を用いることは生徒の興味・関心を高めることに有効であることが分かった。
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