創薬化学の導入により医薬品教育の重要性を学ぶ効果的な高校化学学習教材の開発
Project/Area Number |
15H00194
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
教科教育学Ⅱ(理科系)
|
Research Institution | 北海道立教育研究所附属理科教育センター |
Principal Investigator |
伊藤 崇由 北海道立教育研究所附属理科教育センター, 研究研修主事
|
Project Period (FY) |
2015
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2015)
|
Budget Amount *help |
¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2015: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
|
Keywords | 創薬化学 / 高校化学学習教材 / ゼオライト |
Outline of Annual Research Achievements |
1 SAR概念の導入により、有機化合物の構造や官能基の重要性を認識させる学習教材の開発 従来の高校における有機化学の授業では、構造や官能基の名称を丸暗記させることが多く、化学的性質に基づき体系的に理解させることは少ないため、生徒に興味・関心を持たせる授業の実施が難しかった。 今回私は、創薬化学における構造-活性相関の概念に基づき、PCやタブレットの画面上に用意したコカインやベンゾカインなど5種の局所麻酔薬の化学構造の画像を重ね合わせるICT教材を用いる、構造や官能基の違いが薬効の違いに繋がることに気付かせる授業プログラムを開発した。また、有用性を高校教員向けの研修で検証した。また、この教材を用いることでコカインの麻薬性がモルヒナン骨格など特異な構造により発現している可能性に気付かせることが可能であり、本教材を高等学校での薬物乱用防止教育の教材として活用することができる可能性を示唆することができた。 2 安全かつ小スケールの医薬品合成実験教材の開発 1の学習プログラムに加え、医薬品の合成実験を実際に体験させることが高校生の有機化学への興味・関心を高めると考え、1の学習プログラムで登場する局所麻酔薬ベンゾカインを合成させることを考えた。しかし、参考とした大学薬学部生向け合成工程は強酸を加熱環流下で用いるほか、全工程に再結晶があるため実験に半日×2日間を要するなど、高等学校で実施するには安全面や実施時間に課題があった。 今回私は、触媒にゼオライトを用いる等の工夫により、強酸を加熱環流させることなく、市販の原料からから2段階でベンゾカインを合成する方法を開発した。また、再結晶工程を省いてもTLCで合成の進行を確認できる手法とし、実験だけでなく考察や協議の活動を含め50分×2回で実験の実施可能となった。また、小スケールで加熱環流装置が不要なことから、従来より簡単かつ安価に実験実施が可能になった。 3. 開発したプログラムや教材の発表と普及 今回開発した内容は、先述教員研修での活用のほか、2015年8月の日本理科教育学会全国大会、2016年3月の日本化学会年会で発表した。また、成果を北海道立教育研究所附属理科教育センター研究紀要第28号にまとめ、発表した。
|
Report
(1 results)
Research Products
(4 results)