本研究は、知的障がい特別支援学校において「教育課程の展開に寄与する」という学校図書館の目的を果たすために、どのような実践を行い、どのような条件整備が必要か、知的障がい特別支援学校の図書館の在り方について明らかにしていくことを目的としている。 具体的な研究内容としては、①学校図書館年間活用計画の見直しと活用 ②司書教諭や学校司書による学校図書館を活用した授業への参画 ③授業に必要な児童生徒の実態に応じた資料の購入・借り入れと提供 ④単元やテーマ別のブックリストの作成 ⑤マルチメディアDAISY図書等のバリアフリー資料の整備を行った。 その結果、学校図書館は授業に役に立つという認識が教職員に広がり、教職員からのレファレンスや学校図書館を活用した授業が増加した。また、司書教諭や学校司書が調べ学習や探求的な学習の授業に参画することで、児童生徒の知的好奇心を満たし、学びが豊かになるという感想が教職員から聞かれた。 知的障がい特別支援学校の図書館も普通学校の図書館と何ら変わることはなく、むしろ、“知的障がい”という障がいを補償する「知の拠点」として学校図書館が機能することが必要である。そのためには学校司書の配置と司書教諭の発令がきわめて重要であり、学校司書と司書教諭が協働して、児童生徒の実態に応じたわかりやすい環境整備や資料提供、授業支援を行っていくことが大切である。 全国的にも知的障がい特別支援学校の図書館の施設や設備、人的体制等の現状はきわめて脆弱であり、実践も積みあがっていないことから、本研究はこの分野の発展に寄与できるものと考えている。
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