AFMと光散乱法を用いた高分子単一鎖の観測と分子量分布による分子鎖長の評価
Project/Area Number |
15H00302
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
化学
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 元也 国立大学法人 東京工業大学, 技術部, 技術職員
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Project Period (FY) |
2015
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2015)
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Budget Amount *help |
¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2015: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 原子問力顕微鏡(またはAFM) / 光散乱 / 高分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】 高性能原子間力顕微鏡(AFM)による高分子単一鎖の直接観察と、平均分子量分布を高精度で与える光散乱法による測定の比較を通じ、高分子単一鎖の長さ分布と分子量分布の整合性を評価する。標準的な高分子試料を用いて系統的な実験を行うことで、得られる知見の一般化を図る。この取り組みにより、新規に合成された高分子材料の構造評価を行う際、参考データとして有用な情報が得られると期待できる。 【研究方法】 高分子試料としては、標準的な高分子であるポリメチルメタクリレート(PMMA)を用い、高分子単一鎖の観測には、PMMAをマイカ基板上にキャストし、分散したサンプルを用意し、AFMで観察を行った。得られた画像データから高分子鎖径・長さを見積り、分布図を作成した。また、AFMで用いたPMMAの溶液中での粒径分布を光散乱法により測定した。PMMAの単量体の分子量と長さから推測される高分子鎖の粒径、光散乱法により得られる粒子径分布、AFMにより得られる高分子鎖径・長さ分布を比較することで、分子量情報から得られる粒子径・長さの推測値と、二つの測定方法から得られる実際の高分子鎖の粒子径・長さ分布の整合性を評価し、基板上での高分子単一鎖の形態を考察した。 【研究成果】 AFMと光散乱法の高分子鎖粒子径分布の比較を通じて、得られる分布の整合性の傾向に関する結果を得た。光散乱法は散乱光として可視領域のレーザーを用いているため、その波長程度の粒子に対しては、確かな統計的な分布を得ることができる。この対象となる領域(数10nm~数100nmオーダー)では、二つの装置により得られるデータに整合性を得た。一方で、粒子径が数10nmに満たないものは、光散乱法による検出が困難になり、一方で微視的な形態を画像化できるAFMにより、光散乱法では十分に検出されない分子鎖の断片が基板上で確認でき、10nmオーダーの分子鎖・粒子径ではAFMによる基板上での観察が有効な手段であることを見出した。また、技術面では、AFMによる基板上の高分子鎖観察における分子量の範囲や溶液濃度の条件に関する知見が得られた。今後、これらの成果を活かした研究支援による成果を期待することができると考える。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)