海のクマムシの放射線耐性の研究と理科教育への応用の検討
Project/Area Number |
15H00306
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
化学
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
宮澤 俊義 静岡大学, 技術部, 技術専門員
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Project Period (FY) |
2015
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2015)
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Budget Amount *help |
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2015: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 放射線 / クマムシ / ストレス耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
<研究目的> 緩歩動物クマムシは、様々なストレス耐性を持つことで、知られている。深海から高山まで地球上のあらゆる所に分布しているが、今までの研究対象は、陸上のクマムシについてがほとんどで、海のクマムシについての研究報告は少ない。そこで本研究では海のクマムシの採集から飼育、形態的特徴、生態的特徴、放射線耐性の有無などを調べることで、地上最強生物とも言われているクマムシの能力の解明を目的とした。 <研究方法> 海のクマムシを探す事から始めた。静岡大学に近い用宗海岸の岸壁で、クロフジツボ、イワフジツボの2種を採集し、ハンマーで細かく砕きボトルに入れて激しく振とうする。上澄み液をプランクトンネットで濾して、残りの固形物をシャーレに移し、実体顕微鏡で観察してクマムシを探し光学顕微鏡で詳しく観察した。 <研究成果> 陸上のクマムシの体長は600ミクロン以上あるが、海のクマムシは100ミクロン前後と体長が非常に小さく、最初は見つけるのに困難を極めた。細かく砕いて海水に入れて振とうした液を、そのまま小型のシャーレに入れて、直接光学顕微鏡で観察したら、容易に見つけることが出来た。外部形態も陸上のクマムシとそっくりだが、海のクマムシはサイズが小さく他の微小生物のプランクトンと同じで、浮遊生活を主にしていると考察された。陸上のクマムシは、乾燥すると体を縮めて休眠してしまうが、残念ながら海のクマムシは、乾燥してしまうと体を少し縮めただけで、死んでしまった。乾燥の方法に改善の余地があると思われるが、陸上のクマムシと同じような性質は持たないことが分かった。また放射線耐性も陸上のクマムシのような高い線量の放射線には(5000Gy以上)耐えないことも今回の実験で分かった。まだ多くの不明な点も多いが、海のクマムシを多数見つけ観察することには成功した。この結果を基に今後の研究に生かすとともに、次のひらめき・ときめきサイエンスでは、海のクマムシの実験をテーマに中学生向けに講座を開講する予定である。 海のクマムシの能力の示すデータを今後ももっと集めて、クマムシの持つ不思議な能力についての解明に向けて継続して、研究を進めるつもりである。
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Report
(1 results)
Research Products
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