Outline of Annual Research Achievements |
近年, 高精度・高強度な微小歯車の製作が可能となっており, 有効的活用が期待される. しかし, 微小歯車の負荷特性については系統的な評価がされておらず, 有効に活用されていない. また, このような微小歯車は, 省スペース性を犠牲にしないような潤滑条件で使用することが望ましい. 本研究では, 金属製微小ねじ歯車対の潤滑条件について検討した. 具体的には, まず, ねじ歯車における潤滑条件を検討するために, 一般的に利用されている大きさ(モジュール : 1)の金属製ねじ歯車対に対して, 潤滑条件を変えて耐久試験を行った. つぎに, 微小歯車における潤滑条件を検討するために, 金属製微小平歯車対(モジュール : 0.2)に対して, 潤滑条件を変えて耐久試験を行った. 潤滑条件は, 実験開始時の潤滑油の滴下, フッ素コーティングを施した歯車に対する無潤滑条件およびグリース潤滑である. 一般的な大きさのねじ歯車の結果は, 以下の通りである. 1. フッ素コーティングは, ねじ歯車の高い接触圧力のため良い効果を示さず, 短期間で損傷に至った. 2. 潤滑油滴下条件では, 遠心力により潤滑油が飛散し, 短期間で損傷に至った. 3. グリース潤滑条件では, 運転によって生じた摩耗粉がグリースに混ざったままとなり, その影響も含めて短期間で損傷に至った. 微小平歯車の結果は, 以下の通りである. 1. フッ素コーティングは, 微小平歯車においても効果が確認できず, 短時間で損傷に至った. 2. 潤滑油滴下条件では, 微小歯車であり遠心力が小さいため, 比較的高速回転においても潤滑油が飛散しなかった. これらの結果から, 微小ねじ歯車でも, 潤滑油滴下条件が有効である可能性を明らかにした. また, グリース潤滑条件では, 摩耗粉および周辺からの異物の混入対策が必要であることを明らかにした. さらに, フッ素コーティングの有効性は確認できなかった.
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