Outline of Annual Research Achievements |
秋田県の流域下水道で最も計画処理水量が多い秋田臨海処理センターを対象とし, 水処理工程由来の亜酸化窒素(N_20)発生特性を解析するため, 現場調査による水質測定を行った. なおN_20は二酸化炭素の約300倍温室効果能を持ち, オゾン層破壊物質である. 調査は8月と11月に行い, 流入原水, 反応槽流入水, 反応槽, 処理水において水サンプルを採取した. これらに加えて8月は反応槽からガスサンプルを, 11月は最終沈殿池から水サンプルを採取した. 採取したサンプルから, ガス態N_20 (GN_20), 溶存態N_20(DN_20), NH_4N, NO_2-N, NO_3-Nなどを測定し, 現場で直接DO, 水温, pHなどを測定した. その結果, 反応槽から発生する単位流入下水量当たりのGN_20は0.00175gN_20/㎥, 処理水中の単位流入下水量当たりのDN_20は0.0126gN_20/㎥であった、また, 反応槽から発生するGN_20濃度は約150ppb程度と大気濃度以下であった, これは反応槽において硝化抑制運転を行っており, 生物的硝化脱窒反応が進行していなかったためと推察される. DN_20濃度は8月と11月調査のいずれにおいても処理水において増大した. 反応槽および最終沈殿池においてDN_20濃度が変化しなかったこと, NO_2-NとNO_3-Nも処理水において濃度が増大したことから, 処理水におけるDN_20濃度の増大は, 塩素混和池において注入される次亜塩素酸と流入してきたNH_4-Nが反応してジクロラミンを生成し, その分解反応の副産物としてDN_20が生成されたためと推察される. これより, 秋田臨海処理センターでは処理水に溶存して系外にDN_20が排出されており, 硝化抑制運転を行っている他の下水処理場においても, 同様にDN_20が排出される可能性が示唆された.
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