Project/Area Number |
15H00419
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
工学Ⅴ(その他工学)
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Research Institution | 兵庫県警察本部刑事部科学捜査研究所 |
Principal Investigator |
下田 修 兵庫県警察本部刑事部科学捜査研究所, 警察研究職員
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Project Period (FY) |
2015
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2015)
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Budget Amount *help |
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2015: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 被熱金属 / 潜在指紋 / 電気炉 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】 拳銃の薬莢、爆発物等の金属に付着した潜在指紋が高熱の被熱を受けた際、指紋中の有機物が揮発するなどして指紋検出が難しい場合がある。また、アイロン(200℃)による接触加熱は、DNA定量値を低下させるという報告があり、被熱を受けた潜在指紋検体からのDNA型鑑定も難しいものとなる。このことから、金属が熱を受けた際に、唯一、指紋のみが被疑者特定のカギとなる。本法を確立するため、次の3点を検討した。①通常の指紋検出法がどのくらいの被熱温度で検出できなくなるのか。次に、再加熱法と腐食液法による検討②様々な金属検体の潜在指紋を段階的に加熱することでの蛍光強度の増加の検討③顕在化システムの確立について、である。上述の検討により、被熱を受けた一部の金属検体からの指紋検出が可能となった。 【研究計画及び結果】真鍮、ステンレス、アルミニウム、スチール製空き缶の検体に、指紋を押捺後、一昼夜乾燥させたものを検体とした。①指紋を押捺した金属検体について、電気炉内で300℃を超える被熱5分程度により、通常の指紋検出法では検出できないことが明らかとなった。また、本検体を電気炉内で温度と時間を変化させる実験を行い、上記被熱を受けた金属検体について、再加熱(650℃、5~20分)することで指紋を顕在化できることも確認できた。アルミニウムについては、融点660℃に近く顕在化には至らなかった。スチール製の塗装部分については、塗装が変色炭化に至り、指紋隆線を確認することはできなかった。腐食液による検出法においては、スーパーブルー、パーマーブルー、塩酸、硫酸等の酸を使用し、濃度を変え検討した結果、最も効率よく潜在指紋の検出ができたものは2%スーパーブルー溶液であった。しかし、放置しておれば検体全体も酸化してしまうことにより、潜在指紋が消失してしまうため、注意を要する。②200℃に加熱された潜在指紋は、メイラード反応等により蛍光強度が増加することを実験により確認しており、上質紙で試験を行った結果、532nmの5wレーザーにより蛍光指紋として確認できた。同様の実験を温度と時間を変えながら、各種金属検体に対して行ったが、上質紙のように蛍光指紋としてとらえることはできなかった。スチール製空き缶については、塗装のバック蛍光を炭化させることにより消失させ、潜在指紋の蛍光化の可能性が考えられ、更なる検討を行う。③平面の検体では通常の写真撮影による検出法で行えるが、筒状の撃ち柄薬莢の顕在指紋については、プリズム、ミラー等を配置して3次元を2次元として撮像し、画像処理によりひずみ等の除去の更なる検討を行い、今後、H28年法科学技術学会に発表予定である。
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