犬アトピー性皮膚炎におけるS. pseudintermedius毒素の病的意義解析
Project/Area Number |
15H00442
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
生物学Ⅱ(動物)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
片山 有紀 千葉大学, 大学院医学研究院, 技術補佐員
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Project Period (FY) |
2015
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2015)
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Budget Amount *help |
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2015: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 皮膚科学 / ゲノム解析 / 微生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】イヌは人間の生活にもっとも適応した動物といえる。そのため、ヒトと同様アレルギー疾患はイヌの疾患の中でもっとも高頻度にみられる疾患として先進国では知られている。本研究申請者の所属する教室では、松岡(旧姓 : Nakamura)らがヒトアトピー性皮膚炎(以下AD)において、黄色ブドウ球菌(S. aureus)の外分泌毒素であるd-toxinが重要な役割を果たしているという発見(Nakamura Y et al. Nature, 2013 Nov 21 ; 503(7476) : 397-401)をした。興味深いことに、犬ADにおいてはS. aureusの近縁種であるS. pseudintermediusが検出されることが知られている。そこで申請者はヒトのADで見られるd-toxinの病原性が種を超えて保存された現象であるのか、イヌAD患犬より単離されたS. pseudintermediusを用いて検討することを着想した。本研究でS. aureusのヒトで認められる現象がイヌでも証明できれば、この現象が種を超えて疾患に寄与することが証明できると考えた。 【方法】千葉大学病原体取り扱い申請の承認後、イヌAD患犬から採取したS. pseudintermedius株を複数入手した。d-toxinタンパク質はRnaIII遺伝子上にコードされ、この遺伝子の発現はd-toxinタンパク質発現を反映する。StaphylococcusのRnaIII遺伝子は菌の生息密度などにより発現が制御されることが知られているので、液体培地でいくつかの培養時間をとりRNA試料を作製し、リアルタイムPCRを行い、発現の定量を行った。d-toxinは皮膚で“かゆみ”などを司る肥満細胞の脱顆粒反応を介して病原性を発揮するので、松岡らの報告に基づき、S. pseudintermediusの培養上清でマウス肥満細胞の細胞株MC/9を刺激して脱顆粒反応について検討を行った。またその反応が、真にS. pseudintermediusのd-toxinによるものなのかを合成ペプチドを用いて比較検討した。また、S. pseudintermediusの全ゲノム解析をMiSeqを用いて実施した。 【成果】本研究において、S. pseudintermediusでもRnaIIIの遺伝子発現が認められた。S. pseudintermediusの全ゲノム配列を読むことができた。現在はそれを解析中である。ヒトと生活を共にするがために罹患するようになったイヌの疾患の病因の解明につながると予想され、新規治療法・予防法の開発などに貢献できることが、今後期待できる。解析後は成果を論文などで発表し、報告する。
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Report
(1 results)
Research Products
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