Outline of Annual Research Achievements |
(1)目的 : キュウリの保有するアスコルビン酸オキシダーゼによってアスコルビン酸が酸化され, アスコルビン酸に起因すると考えられる抗酸化活性, メラニン生成阻害効果, メラノーマ細胞増殖抑制効果の低下が確認された。本研究で, キュウリに限らないアスコルビン酸オキシダーゼを保有する食品を網羅的に評価し, アスコルビン酸の酸化と機能性変化との相関を演繹的に証明することを目指した。 (2)方法 : アスコルビン酸オキシダーゼを保有するといわれる, ニンジン, カボチャ, 新ショウガ, カイワレダイコンのホモジネートを試料とし, 抗酸化活性とメラノーマ細胞増殖抑制作用について測定した。抗酸化活性の測定には, 国際的な汎用法であるDPPHラジカル捕捉活性を用い, アスコルビン酸ナトリウムとの混合による相互作用について検証した。がん細胞の増殖は, ミトコンドリア乳酸デヒドロゲナーゼ活性を指標とした市販キット(XTT assay, Roche)を用いて, メラノーマ細胞増殖抑制率を算出した。 (3)結果 : ニンジンを添加することで, アスコルビン酸の抗酸化活性低下が確認されたが, カイワレダイコンの添加では, 低下作用が確認れず, カイワレダイコン自身からも高い抗酸化活性が確認された。この結果から, ニンジンはキュウリと同様にアスコルビン酸を酸化させ, その抗酸化活性を低下させるが, カイワレダイコンは自身の抗酸化活性が高く, アスコルビン酸オキシダーゼの影響も小さいと考えられた。一方, カボチャおよび新ショウガは試料が懸濁し, 吸光度測定を実施することができなかったため, 試料の調製方法が課題となった。 ニンジン添加でメラノーマ細胞増殖抑制ではなく増殖促進が確認された。この結果から, ニンジンについて引き続き調査し, メラノーマ細胞に対して特異的に作用するのか, 正常細胞を含めた細胞全般に対して増殖促進効果を発現するかを検証する必要がある。この結果によっては, 正常細胞の代謝促進効果として期待ができる。
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