Project/Area Number |
15H00484
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
薬学Ⅰ
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
齋藤 佳敬 北海道大学, 北海道大学病院, 薬剤師
|
Project Period (FY) |
2015
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2015)
|
Budget Amount *help |
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2015: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
|
Keywords | シスプラチン / マグネシウム / トランスポータ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではラットを用いて、CDDP腎障害に対するマグネシウム(Mg)投与の予防・軽減効果の検証およびその機序の検討を行った。シスプラチン(CDDP)2.5mg/kg/週の腹腔内投与を3回繰り返すことにより、CDDPの反復投与を再現した。採血はCDDP投与前、CDDP投与5日後、7日後に行った。 その結果、腎機能障害の指標として用いた血清クレアチニン値はCDDP1回目投与5日後より生理食塩水を投与したコントロールラットと比較して有意に上昇し、その後もコントロール郡では継時的に上昇したが、Mg併用によりその上昇は有意に抑制された。血清Mg値はCDDP1回目投与後より有意に低下し、その後は横ばいで推移したが、こちらもMgを併用することにより有意にその低下は抑制された。 CDDPの近位尿細管への取り込みを担うOrganic cation transporter 2(rOct2)の発現量はCDDP単回投与により、コントロールラットと比較して約1.4倍に増加したが、CDDPをMgと併用投与した場合、その発現量は約0.5倍へと低下した。近位尿細管からのCDDP排出を担うMultidrug and toxin extrusion protein l(rMATE1)の発現量はCDDP単回投与では変動が認められなかったが、CDDPとMgの併用時には1.4倍増加した。その結果、CDDP-Mg併用投与群ではCDDP単回投与後の腎臓内プラチナ蓄積量はCDDP単独投与群と比較して有意に低下した。しかし、CDDP投与2回目ではMgの併用の有無によらず両トランスポータの発現変動は同等であり、さらに腎臓内プラチナ蓄積量にも差はみられなかった。これらの結果からMgによる腎保護効果はCDDPの腎臓内動態に関与するトランスポータに作用する間接的効果ならびに抗酸化作用などの直接的効果が協働している可能性が示唆された(論文投稿中)。 今後はCDDP投与3回目におけるトランスポータ発現変動および腎臓内プラチナ蓄積に関する検討を行う。また、腎由来細胞および腎上皮細胞膜ベジクルを用いたこれらトランスポータの機能解析、ならびに抗酸化作用など他の機序の可能性の評価を実施する予定である。
|