Outline of Annual Research Achievements |
母体へ投与された薬物は胎盤を通過し胎児へ移行することから、薬物の胎盤輸送に関する情報は、胎児に及ぼすリスクを考える上で重要である。妊娠時も服用を継続する可能性のある薬剤の一つとして、抗てんかん薬がある。近年、ラモトリギン、レベチラセタム、ガバペンチン、トピラマート等の新規の抗てんかん薬が本邦においても承認されている。本研究は、新規の抗てんかん薬(ラモトリギン、レベチラセタム、ガバペンチン、トピラマート)の胎盤輸送に関して検討を行うことで、妊娠時における有効で安全な薬物療法の実施に貢献することを目的とした。 ヒト胎盤由来の細胞株(BeWo細胞・JEG-3細胞)を用いた検討により、ガバペンチンは他の薬剤と比較して両胎盤細胞に顕著に蓄積することが明らかとなった。また、ガバペンチンの細胞内への取り込みは濃度飽和性を示したことから、ガバペンチンの胎盤への取り込みに何らかの輸送担体が関与する可能性が示唆された。そこで、ガバペンチンの胎盤細胞への輸送に寄与する輸送担体を解明するため、種々の阻害剤やsiRNAによるノックダウンの影響を検討した。その結果、中性アミノ酸トランスポータ(L-type amino acid transporter, LAT)の阻害剤およびLAT1ノックダウンにより、ガバペンチン輸送は顕著に低下した。 以上、本研究の結果から、胎盤細胞へのガバペンチン輸送にはLAT1が寄与していることが示された。引き続き、他の抗てんかん薬の輸送機構に関しても検討を進めていく予定である。
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