Project/Area Number |
15H00495
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
薬学Ⅱ
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上杉 美和 京都大学, 医学部附属病院薬剤部, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2015
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2015)
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Budget Amount *help |
¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2015: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | タクロリムス / CYP3A5 / 生体肝移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝臓移植後に用いられるタクロリムスは、体内動態変動が大きいため個別投与設計が行われている。これにより全血中タクロリムス濃度の調節が可能だが、CYP3A5*3遺伝子型がタクロリムスの局所的代謝効率に影響を与え、タクロリムスの主薬理作用である免疫抑制作用とは異なる機序により、腎障害や高血糖等の副作用を惹起することが想定される。そこで今回、タクロリムス及びその代謝物の非免疫担当細胞に与える作用、について、細胞モデルを用いた基礎的な検討を行った。また、肝移植患者において、副作用発現に及ぼすCYP3A5*3遺伝子型の影響について臨床的な検討を実施した。 生体肝移植術施行後の成人患者のうち、ABO型不適合症例を除く患者を対象とした。急性腎障害及び慢性腎障害の評価に、血清クレアチニン値及び推算糸球体濾過値を用いた。血糖維持への影響について、術後インスリン投与日数を用いて評価した。in vitroモデルとして、CYP3A5遺伝子を導入したヒト胎児腎(HEK)293細胞にタクロリムスあるいは代謝物を処置後、生存細胞数及びアポトーシスを起こす細胞数を計測した。 急性腎障害発症頻度は、移植肝がCYP3A5*1アレルを有する群において、高い傾向が認められた。慢性腎障害への影響について、今回の検討では有意な差は認められなかった。また。術後インスリン投与を必要とした期間は、移植肝の遺伝子型が*3/*3の場合、短い傾向であった。一方、ヒトCYP3A5遺伝子を導入したHEK293細胞にタクロリムスを処置し48時間培養したところ、CYP3A5を発現しないHEK293細胞と比較して、生存率の低下が観察された。以上より、タクロリムスの副作用に対し、CYP3A5遺伝子型が影響を及ぼす可能性が示唆されたが、今後更なる検討が必要であると考える。
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