Outline of Annual Research Achievements |
アゾール系抗真菌薬のボリコナゾール(VRCZ)は, 主にcytochromeP450(CYP)2C19により不活性型のNオキシド体(VNO)へと代謝される. 2008年TDMガイドラインでVRCZの有効濃度域は1-5mg/Lが示されたが, 小児は成人と比ベバイオアベイラビリティが低く, 全身クリアランスが高いためVRCZの有効濃度域到達には高用量を要することが示唆されている, 今回, 小児でのVNO/VRCZに基づく投与設計法の確立のためVRCZおよびVNOの血中濃度を測定し, CYP2C19遺伝子多型解析を行った. 2013年7月~2016年3月に鹿児島大学病院でVRCZを投与された入院患者29例(男/女 : 19/10)を対象とした. 投与3日目以降の投与前採血としHPLC-UV法を用いて血漿中VRCZおよびVNO濃度を測定した. CYP2C19の遺伝子解析はPCR法を用い, 遺伝子多型は*1/*1をextensive metabolizer(EM)群, *1/*2および*1/*3をintermediate metabolizer(IM)群, *2/*2, *2/*3および*3/*3をpoor metabolizer(PM)群に分類した. 患者背景は年齢50.6±20.7歳, 体重52.91±0.4kgであった. CYP2C19遺伝子解析では, EM群は9例, IM群は8例, pM群は12例であり, VNO/VRCZはそれぞれ0.7±0.4, 1.1±0.7, 1.2±0.8であった. VRCZの血中濃度に統計学的有意差は認めなかったが, VNOではEM-IM間のみ有意差を認め, VNO/VRCZではEM-IM間及びEM-PM間に有意差が認められた. そのうち多型解析が可能だった小児患者は2例で何れもPM群であり, VNO/VRCZは1.7±0.8であった. 今後より多くの小児症例の集積と母集団解析を行い, 更なる検討を進める.
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