Project/Area Number |
15H00522
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
薬学Ⅲ
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
中村 健志 島根大学, 医学部附属病院薬剤部, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2015
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2015)
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Budget Amount *help |
¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2015: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | アセトアミノフェン / 薬剤性肝障害 / ドーパクロムトートメラーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】アセトアミノフェン(APAP)は風邪、がん、また終末期の患者に至るまで幅広く高頻度に用いられる解熱鎮痛薬である。がんや終末期の患者になると高用量での使用が増え、これに伴い用量依存的な肝障害が発生することが臨床上多くみられる。 一方、肝臓は他の臓器に比べてきわめて多くのD-Dopachrome Tautomerase (DDT)を発現し、動物レベルによる様々な肝障害(B型肝炎ウイルス、部分肝切除、四塩化炭素)で発現の増加が報告されている。しかし、これまでに薬剤性肝障害モデルにおけるDDTの関与は報告されていない。 そこで今回、APAPにより誘発された薬剤性肝障害におけるDDTの関与について検討した。先にヒト肝癌由来細胞(HepG2)を用いて条件設定を行い、続いて初代培養ラット肝細胞を用いることとした。 【方法】HepG2を10%FCS、各種抗生物質を含むE-MEM培地にて37℃、5%CO2存在下24時間培養した。培養液を交換後、APAPを添加し、さらに培養を継続することで薬剤性肝障害を誘発した。細胞毒性評価は細胞生存能力を反映するWater Soluble Tetrazolium Salts (WST-1)とトリパンブルー染色で評価した。DDTの検討は、ウエスタンブロット法にて評価した。 【結果・考察】WST-1、トリパンブルー染色によってHepG2においてAPAPは濃度依存的に細胞毒性を引き起こしていることを確認した。また、培養上清中のDDTタンパク量に変化が見られた。このことから、DDTはAPAP濃度依存的な肝障害を反映している可能性が示唆された。しかし、タンパク量の増加が見られたAPAP濃度とWST-1活性が低下し始めた濃度に相関性が見られないことから、DDTが鋭敏な肝障害マーカーになる可能性は低いことが類擦された。また、細胞内DDTタンパク量は低濃度のAPAPにて増加が見られたことから、詳細は検討中であるが、DDTが肝障害を受ける前に何かしらの作用をしている可能性も考えることが出来た。HepG2において条件設定が完了したので、初代培養ラット肝細胞において更なる研究を進めている。
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