【目的】カルバペネム系抗菌薬は、重症感染症の経験的治療として選択される。重症感染症で持続的血液濾過透析(CHDF)が導入される患者において、カルバペネム系抗菌薬の薬物動態を評価した報告は少なく、投与の指標は明確ではない。そこで我々は、CHDF施行中におけるカルバペネム系抗菌薬の薬物動態を評価し適切な投与設計を行うことを目的に、当院で使用頻度の高いドリペネム(DRPM)とメロペネム(MEPM)のHPLCによる定量法を構築することとした。 【方法】DRPM及びMEPMを添加した血清に、セフタジジム(内標準物質)、アセトニトリルを加えて撹拌した後、遠心分離を行った。得られた上清を減圧下にて溶媒留去し、残渣をMOPS溶液に再溶解したものを分析用試料とした。試料の30μLをHPLCに注入し、以下の条件で分析を行った。すなわち、分析カラムにはInertsil ODS-3(4.6mmi. d. ×250mm、5μm)、移動相には10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)/アセトニトリル混液を用いた。流速は1.0mL/minに設定し、UV300nmで検出した。 【結果・考察】検量線は、DRPMは1.0~48μg/mL、MEPMは0.5~48μg/mLの範囲において、R^2=0.999と良好な直線性を示した。バリデーションにおいて、RSDおよびREがともに±15%以内となり、本法が真度および精度に優れていることを確かめた。健常成人でカルバペネム系抗菌薬の血中濃度は0.1~50μg/mLの範囲で推移することが報告されており、本法は臨床におけるTDMにも対応可能な感度を得られていると考えられる。
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