定量NMR法を利用した危険ドラッグ中の薬物の高精度・迅速定量法の開発
Project/Area Number |
15H00560
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
薬学Ⅳ
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Research Institution | 宮城県警察科学捜査研究所 |
Principal Investigator |
立入 直紀 宮城県警察科学捜査研究所, 研究職員/公務員
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Project Period (FY) |
2015
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2015)
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Budget Amount *help |
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2015: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 定量NMR / 危険ドラッグ / 5F-ADB |
Outline of Annual Research Achievements |
○研究目的 危険ドラッグ中の薬物やその含有量は製品によって異なり、様々な健康被害や事故、犯罪を誘発している。その影響を調べるためには、製品中の薬物の特定以外に含有量を明らかにすることも重要である。しかし、一般的なクロマトグラフ法による定量では、純度既知の標準品で検量線を作成する必要があり、1000種類以上となった指定薬物を網羅することは困難である。そこで、標準品や検量線を必要とせず信頼性の高い定量法である定量NMRを用いて危険ドラッグ中の薬物を迅速かつ高精度に定量する方法について検討した。 ○研究方法 化学シフト値予測ソフト(Mnova Suite)と実測NMRデータから各種薬物の化学シフト値を確認し、定量NMRにおける最適な内部標準物質及び重溶媒について検討した。定量NMRの測定条件は、既知濃度の5F-ADBを用いてNMRとGCの定量値を比較することにより評価した。危険ドラッグからの薬物の抽出溶媒は、市販のハーブ及び危険ドラッグを各種溶媒で抽出した試料についてNMRを測定し、夾雑成分の影響が少ない最適な抽出溶媒を選択した。最終的に、5F-ADBが含有する危険ドラッグを用い、NMRとGCにより定量精度を評価した。 ○研究成果 危険ドラッグ中の薬物の定量NMRにおいて最適な内部標準物質は、他のピークと重複しないマレイン酸(化学シフト値 : 約6.2ppm)が有効であった。測定重溶媒については、内部標準物質及び各種薬物の溶解性を考慮すると重メタノールが有効であった。市販のハーブ及び危険ドラッグの抽出液のNMR測定では、アセトニトリルを用いた時、夾雑成分の影響が最も少なくなり、最適と考えられた。これらの条件で、5F-ADBを含有する危険ドラッグについて、NMRとGCによる定量値を比較したところ、夾雑成分の影響がなく測定が可能であった。また5F-AB-PINACA等、他の薬物が含有する危険ドラッグにおいても適用可能であった。定量NMRは、ドラッグ類に含有する薬物の定量が迅速に測定可能であるため、市場に流通する薬物の定量値を比較し、製品間の異同識別や流通ルートを把握する等、薬物規制のための薬物分析に大きく貢献すると考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
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