【研究目的】 ダクルインザ®錠・スンベプラ®カプセル併用療法は、これまでの標準治療(プロテアーゼ阻害剤+ペグインターフェロン+リバビリン併用療法)と異なり、C型肝炎に対する日本初の経口剤のみの治療となり、入院ではなく外来導入も多く見込まれた。この両剤には併用禁忌薬の多さと服用期間の長さの問題があり、治療を円滑に遂行するためには薬剤師介入による薬歴管理や服薬指導、副作用モニタリングが非常に重要であると考えられた。 そこで本研究ではC型肝炎治療が安全かつ的確に実施できるよう、医師・看護師・薬剤師の協働プロトコールを作成し、経口C型肝炎治療薬による治療完遂率、副作用発現率、投与期間を調査することを目的とした。また、本研究によって得られた結果からC型肝炎治療に対して薬剤師の円滑な治療サポートが行えたかを評価し、さらに適切なプロトコールの更新につなげることとした。 【方法】 対象 : 当院において、経口C型肝炎治療薬を服用する患者 方法 : 1外来での導入の流れを把握し、医師・看護師・薬剤師の役割を明記した協働プロトコールを作成 2協働プロトコールに基づいて治療を行った患者のカルテより、治療完遂率、副作用発現率、投与期間の遵守を調査 3目標症例は50例 【成果】 投与症例 : 101例投与期間超過症例 : 0例 併用禁忌薬使用例 : 3例 治療完遂率 : 87.6% 中止症例 : 13例(肝機能障害4例、無効4例、薬疹1例、血小板減少1例、自己中断2例、発がん1例) 作成した協働プロトコールに基づき、医師は治療法について、看護師はスケジュールや肝炎助成について、薬剤師は併用禁忌薬や副作用について指導を行うことができた。医療者で共通の認識を持つことができたため、円滑かつ均てん化した対応が可能であった。今後の新規C型肝炎治療薬においても協働プロトコールは有用であることが示唆された。
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