がん骨転移治療におけるゾレドロン酸誘発腎障害の早期発見と処方支援策の評価
Project/Area Number |
15H00575
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
薬学Ⅳ
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
秦 晃二郎 九州大学, 大学病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2015
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2015)
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Budget Amount *help |
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2015: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | ゾレドロン酸 / 腎障害 / スタチン |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】進行がんにおける骨転移は病的骨折を来たし、激しい疼痛や歩行不能など患者の生活の質を著しく低下させる。ゾレドロン酸は破骨細胞のメバロン酸経路を阻害し、細胞死を誘導することから、骨転移治療薬として用いられるが、腎障害に注意を要する薬剤である。一方、HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)は、メバロン酸経路の上流の反応を阻害してコレステロールの合成を抑制する脂質異常症治療薬である。これらの薬剤は互いにメバロン酸経路に作用するため、併用することによりゾレドロン酸誘発腎障害の発現頻度を高める可能性が懸念されるが、これまで併用による影響に関する報告は行われていない。そこで本研究では、ゾレドロン酸誘発腎障害における危険因子の探索ならびにスタチンとの併用の影響について検討を行った。 【方法】2009年1月~2014年7月の間に、九州大学病院においてゾレドロン酸による骨転移治療を受けた成人がん患者350名を解析対象とし、データはすべて電子カルテから抽出した。腎障害の判定には血清クレアチニン値を用い、腎障害の危険因子について多変量解析を行った。なお、スタチンは物理化学的性質から親水性スタチンと疎水性スタチンに分類して解析を行った。 【成果】ゾレドロン酸誘発腎障害の危険因子は、「親水性スタチンの併用」、「糖尿病の合併」および「ゾレドロン酸の投与回数が6回以上」の3項目であった。さらに、腎障害の発現率は、スタチン非併用患者と比較して、親水性スタチン併用患者で高かったが、疎水性スタチン併用患者では差は認められなかった。本研究の結果から、危険因子を有するゾレドロン酸投与患者では、腎機能の推移に特に注意が必要であり、スタチンの併用が必要な場合は疎水性スタチンの選択が望ましいことが示唆された。
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Report
(1 results)
Research Products
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