Project/Area Number |
15H00598
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
基礎医学
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Research Institution | 株式会社MBR |
Principal Investigator |
中 崇 株式会社MBR, 研究所, 主任研究員
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Project Period (FY) |
2015
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2015)
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Budget Amount *help |
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2015: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 抗酸菌 / glycopeptidolipid / 肺MAC症 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】肺MAC症は結核に類似した病変を生じ、非結核性抗酸菌症の重大な呼吸器疾患である。MAC菌は特異糖ペプチド脂質(GPL)抗原によって、28種類の血清型に分類されている。臨床分離株は、特定の血清型菌が強い病原性を示すことから、各血清型GPLと病原性の関連が示唆されているが、詳細な宿主応答機構は解明されていない。 これまでに、MAC症臨床分離Kull株の天然型GPL(intact GPL, iGPL)6種のうち、アセチル(Ac)基が一つ付加したmono-Ac iGPLのみが、TLR2に認識されることから、細胞内感染Kull株は、Ac基によってGPL糖鎖を修飾し、TLR2感知から回避している可能性を示唆する知見を得た。 さらに本研究では、細胞内感染時におけるiGPLの分子種動態変化を詳細に検証し、細胞内感染におけるMAC菌GPLの役割を解明することを目的とした。 【研究方法】マクロファージ系細胞株にKull株を感染させ、経日的に回収した細胞内感染菌から総脂質を抽出し、MALDI/TOF MS分析によって、iGPLの分子種組成変化を解析した。 【研究成果】細胞内感染菌では、感染4日後以降にdi-およびtri-Ac iGPLが増加傾向を示し、特にtri-Ac iGPLの増加が顕著であった。さらに感染菌では、構造未知のtri-Ac iGPLが感染後に継続的に増加し、非感染菌ではほとんど検出されない新たなiGPLを合成することが明らかとなった。このことから、細胞内感染菌はiGPLのAc基修飾に加えて、新たなiGPL合成により、iGPL分子種を多様化したことで、TLR2の認識回避を可能にした要因の一つであると考えられる。 以上から、さらに天然型GPLのAc基転移酵素遺伝子や感染菌にのみ出現するiGPLの動態変化を追うことで、GPLと免疫回避の関係がより明確になると考えられる。
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