膝痛の局在の違いが痛覚過敏と膝周囲筋力に及ぼす影響
Project/Area Number |
15H00611
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
臨床医学
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
小田 翔太 高知大学, リハビリテーション部, 理学療法士
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Project Period (FY) |
2015
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2015)
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Budget Amount *help |
¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2015: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 膝痛 / 圧痛閾値 / 筋力 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究の目的】 変形性関節症(膝OA)の有症状者は本邦で800万人以上と報告されており、多くの患者の主訴は膝の痛みである。臨床で遭遇する頻度が高いのは膝内側に比較的限局した痛みが多く、その理由として下肢のアライメント異常に代表される生体力学的異常が重視されてきた。しかし、生体力学的異常が目立つ例にといて膝痛がないことは珍しくなく、別の疼痛発生機序の関与が考えられる。膝内側が他部位と比べて痛みの感受性が高いとの仮説をたて、高張食塩水を使ったヒト膝痛モデルを作成し、膝内側痛モデルの痛み特性および痛みが筋力に与える影響について、膝外側痛モデルを対照として比較検討した。 【方法】 対象は健常成人14名とし、高張食塩水(1mEq/ml) 0.5mlを膝内側痛モデルでは内側側副靭帯の脛骨付着部に、膝外側痛モデルでは腸脛靭帯の脛骨付着部に注射した。痛みの評価として、痛み強度、持続時間、分布、圧痛閾値を、筋力評価として、両側膝伸展筋力および握力を計測した。 【結果】 膝内側痛モデルでは、外側痛モデルと比べてより限局性の強い痛みが発生した。圧痛閾値の検討では、膝内側痛モデルのほうが広い範囲に圧痛閾値の低下を認めた。また、両モデルともに両側性の膝伸展筋力および握力の低下を認めたが、膝内側痛モデルの方が有意に筋力は低下していた。 【結論】 膝内側は外側と比べて痛みの感受性が強く、同じ侵害刺激であってもより強い限局性の痛みを発生する。また、膝周囲圧痛閾値の低下や遠隔部位にまでおよぶ筋力低下など脊髄より中枢の神経系に与える影響もより強く生じることが明らかになった。膝痛を有する患者の関節可動域エクササイズや筋力トレーニングを行う際に、痛みの局在を詳細に問診することの診断学的有用性の立証や、そこに潜む痛覚過敏の程度や拡がりを念頭に置く事で、これまでにない一歩進んだ理学療法が可能になる根拠の一つになったと考える。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)