イオン液体を用いた無蒸着迅速走査電顕観察法の臨床医学分野への応用
Project/Area Number |
15H00644
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
臨床医学
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
森野 慎一 国立大学法人鳥取大学, 技術部, 技術専門職員
|
Project Period (FY) |
2015
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2015)
|
Budget Amount *help |
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2015: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
|
Keywords | 走査型電子顕微鏡 / イオン液体 / ヒト皮膚 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】 医学・生物学分野では走査型電子顕微鏡(以下、走査電顕)の利用者が近年減少傾向にある。そこで、第3の液体と言われるイオン液体を用いた新しい走査電顕観察法を臨床医学研究や病理診断に適応し、走査電顕利用者の増加を図れないかと考えた。イオン液体は「ほとんど蒸発しない、伝導性が高い」といった性質を持ち、同液体を用いた試料作製法は従来の方法(常法)と比べて、試料作製時の負担が大幅に軽減可能な画期的な液体だと考えられている。本研究では、ヒト皮膚を観察対象としてイオン液体を用いた走査電顕観察法(以下、イオン液体法)を試み、同液体による観察法の確立と臨床医学への応用を目指すことにした。 【研究方法】 外科治療の際に生じたヒトの余剰皮膚を研究材料として用いた。(1)皮膚組織の固定 : 2~3h浸漬固定(2)常法による試料作製 : 洗浄、OsO_4固定、タンニン酸、OsO_4固定、洗浄、EtOH脱水、凍結乾燥、金属蒸着(3)イオン液体試料作製法 : フッ素含有のイオン液体と非含有のイオン液体それぞれに試料を3~4h浸漬(4)光学実体顕微鏡による比較検討 : (2), (3)で処理した試料を走査電顕観察前と後に光学実体顕微鏡にて観察・撮影を行い比較検討(5)走査電顕による比較検討 : 皮膚角質層表面を走査型電子顕微鏡日立S-4500にて観察・撮影を行い比較検討 【研究成果】 イオン液体法で処理した試料は真空による収縮やチャージもなく、常法による試料と同様に二次電子観察が可能であった。一方、同液体が試料表面に一部残留して微細形態観察の妨げとなる問題も認められた。これはイオン液体の性質によって引き起こされた現象であるが、現時点では同液体の残留問題解決は容易でなく、臨床医学分野への応用は時期尚早であった。しかし、イオン液体法は簡便かつ短時間の処理で観察可能で利点は大きく、同法の確立により様々な成果が期待できると示唆された。
|
Report
(1 results)
Research Products
(1 results)