Outline of Annual Research Achievements |
【研究の背景】 健康づくりの指針「健康づくりのための睡眠指針2014」が厚生労働省より策定されているが, 国民の生活スタイルの変化や勤労形態の多様化, 社会のグローバル化などにより, 一義的に対応できない状況になっている。申請者は, これまで生体リズムを研究してきて, 食事, 運動, 休息及び睡眠の生活リズムが心身の健康状態に深く関連していることをデータでもって確認してきた。最終的には個々人のオーダーメイドの休養・睡眠プログラムの作成が必要と考え, 基礎研究に取り組んできた。今回は, そのなかでも日中の眠気現象に焦点を当て, 夜間の睡眠との関連性を検討した。 【研究目的】 1)日中短時間睡眠の精神身体的リフレッシュ効果, だるさ等の有無を検討すること。 2)日中短時間睡眠前後の心理的, 生理的な指標の変化があるか検討すること。 【研究方法】 1)アンケート調査 : 心理学的な分析として, 心理的評定, 身体的評定から成る自己評定質問紙を実施した。 2)実験的分析 : 同意の得られた大学生16名から唾液の採取を行った。生理学的な分析として, メラトニン, コルチゾールの時系列的分泌量を指標とした。実験条件は日中の短時間睡眠前後の心理的, 生理的指標の差異, 統制条件は, 短時間睡眠をとらない場合とした。 【研究成果】 予備調査において, 95%の学生が日中眠気を感じることがあり, 夜間睡眠の質よりも量との相関が確認された。本実験において, 短時間睡眠の効果は個人差が大きく, 心理的評定及び生理的指標の変化において, 予期に反して有意差が認められなかった。一方メラトニンの安定分泌群は, 不安定群よりも有意に心身状態が良好であり, 不安定群は, 日中においてコルチゾールの高い分泌リズムが続くことが示された。このことより, 夜間の睡眠が日中の眠気に関連しており, 夜間睡眠時にメラトニンが十分分泌される生活リズムがオーダーメイドプログラム作成の基礎となることが示唆された。
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