Project/Area Number |
15H05730
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (S)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Social psychology
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
山岸 俊男 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 特任教授 (80158089)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂上 雅道 玉川大学, 脳科学研究所, 教授 (10225782)
清成 透子 青山学院大学, 社会情報学部, 准教授 (60555176)
高橋 伸幸 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (80333582)
阿久津 聡 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 教授 (90313436)
高岸 治人 玉川大学, 脳科学研究所, 助教 (90709370)
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Project Period (FY) |
2015-05-29 – 2020-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2018)
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Budget Amount *help |
¥177,320,000 (Direct Cost: ¥136,400,000、Indirect Cost: ¥40,920,000)
Fiscal Year 2018: ¥36,920,000 (Direct Cost: ¥28,400,000、Indirect Cost: ¥8,520,000)
Fiscal Year 2017: ¥45,370,000 (Direct Cost: ¥34,900,000、Indirect Cost: ¥10,470,000)
Fiscal Year 2016: ¥46,670,000 (Direct Cost: ¥35,900,000、Indirect Cost: ¥10,770,000)
Fiscal Year 2015: ¥48,360,000 (Direct Cost: ¥37,200,000、Indirect Cost: ¥11,160,000)
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Keywords | 向社会行動 / 利他性 / 進化 / 経済ゲーム実験 / 脳計測 / 利他行動 / 信頼 / 脳構造 / 脳活動 / 集団間攻撃 / 社会的ニッチ構築 / 社会制度 / 向社会性 / 制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度には、行動・心理・脳構造・遺伝子多型データセットの解析を進め、ゲーム行動と脳構造の関連性に関する実験を行った。その結果、以下の知見を含む複数の知見を論文化した。 知見1:社会的規範の逸脱者への罰は、従来の研究では社会的公正動機に基づく利他的な行動と考えられてきた。しかし本研究の結果、規範逸脱者へ単に苦悩を与えたいという公正さとは無縁な攻撃的動機に基づく罰行使者もかなりの比率で存在することが明らかになった。さらに攻撃的罰行使者は左尾状核が大きいという脳形態的特徴があり、この尾状核は線条体に含まれることから、罰行使で何らかの満足を得ている可能性が示唆された。知見2:攻撃性と社会規範成立との関係については、学生参加者による検討から社会的地位の高さとテストステロン量の多さが、相手への支配的行動を強めることも明らかにされている。本研究の知見は、複数の罰行動の背後にある心理・神経基盤を混同してきた従来の研究へ警鐘を鳴らし、攻撃的な罰が社会的公正の達成へ正負いずれの方向に機能しうるかという観点からの研究の重要性を示唆するものである。 海外の研究者と共同で信頼ゲーム実験を17カ国で実施し、ペアの相手の集団所属性について国を単位として内集団・外集団・不明集団で操作したところ、偏狭的利他性(内集団成員をより信頼・協力する)が文化・社会を超えた普遍的な心理的基盤である可能性と、そうした利他性は評判に基づいた間接互恵性によって相殺される可能性も併せて示された。これにより関係形成型独立性へと移行する社会制度設計に評判が重要な役割を果たすことが示唆された。 本研究の最終目的につながる文化形成実験は、社会的ニッチ構築の観点からの心の文化差の説明を検証する世界初の本格的実験であるが、プレテストを繰り返し実施する中で適切な実験デザインを確定し、社会的ニッチ構築理論の精緻化を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
H29年度前半には北海道大学にてリクルートシステム構築準備作業中に、学生を対象とした大規模なプレテストを開始した。この文化形成実験は社会的ニッチ構築からの心の文化差を検討する世界で初めての本格的実験研究であり、適切な実験パラダイムを確立するまでには大規模なプレテストを繰り返す必要がある。そのため、当初は計画に入れていなかった学生サンプルを用いたプレテストを一般人参加者による実験に先行する形で実施した。これは社会的ニッチ構築理論の検討の観点からも必要、かつ、妥当な修正であったといえる。 H29年度後半からは一般人参加者を対象に本格的な文化形成実験を開始し、現在、デザインを追加・修正しながらデータの蓄積・解析、理論構築作業を行っており、当初の予定よりも早い段階で堅実なデータの収集に成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度には引き続き、北海道大学社会科学実験研究センターで一般人を対象とした「文化形成実験」を実施すると同時に、玉川大学においても本プロジェクト開始時点から継続的に参加していただいている参加者に対して、これまで得られた知見をもとに文化・制度の異なる状況下で社会的選好の違いが意思決定に与える影響を検討する第10次調査実験を実施予定である。また、平成30年度夏には、海外の研究者と共同で推進する大規模な国際調査実験に参加し、30カ国で囚人のジレンマゲーム実験を行う予定である。その際に文化的自己観も併せて測定し、「法の支配」についての国別指標、その他経済指標、人口構成、教育水準等のマクロな指標との関連を社会・文化単位で検討する。
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