Project/Area Number |
15H06841
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Japanese literature
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Research Institution | International Research Center for Japanese Studies |
Principal Investigator |
漆崎 まり 国際日本文化研究センター, 研究部, 機関研究員 (50750220)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2016)
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Budget Amount *help |
¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2016: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2015: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 国文学 / 芸術諸学 / 長唄の薄物目録 |
Outline of Annual Research Achievements |
筆者の目的は長唄の薄物形態の伝本を網羅的に調査し、それらを版種ごとに整理して目録化することである。資料の収集はすでに上田市立上田図書館・国立音楽大学附属図書館竹内道敬寄託文庫(以下竹内文庫と記載)・東京芸術大学附属図書館・東京大学教養学部黒木文庫・東京大学総合図書館霞亭文庫・東京都立中央図書館・東洋文庫・明治大学松和文庫・早稲田大学演劇博物館など長唄薄物の主要な所蔵機関における調査は済ませ、フランス国立図書館・ベルリン国立東洋美術館などからも複写を入手している。そして江戸三座の長唄薄物の版行形態について考察し、長唄の薄物をA上演時に座の専属版元が出す初版、Bこれを直ちに流用して版行した本屋儀兵衛版・無刊記版、C上演後に主に稽古本の目的で出された版に分類した。 AとBついては博士論文でまとめてあり、本研究はこれを受けてCの整理が中心となる。歌舞伎の上演年表を作る際にはAが主体となるが、地本おける版権の確立過程を知る上でCは重要な資料群であり、異版が多く存在し覆刻関係も複雑である。したがって、版の識別を正確に行うには早稲田大学演劇博物館本か、国立音楽大学附属図書館竹内文庫本の複写を入手することが必要と判断し、国際日本文化研究センターの図書館を通じて昨年の9月に両所蔵機関に対し複写の申し込みを打診した。早稲田大学演劇博物館からは、大量の複写申し込みにつき難色を示されたが事情を伝えて会議にかけられ、12月に200点ごと数回に分けての複写申し込みをするかたちで許可を得られた。初回の紙焼きを2月に入手している。国立音楽大学附属図書館からは大量の複写申し込みに対応しないとの返答があり現地で突合せ作業を行うが、竹内文庫本は筆者が整理した経緯があり、約8割の資料は閲覧済みである。早稲田大学演劇博物館から紙焼きが入手できるため、諸本の校合はかなり正確に行え、目録化の作業は順調に進むであろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
長唄の薄物は、早稲田大学演劇博物館、国立音楽大学附属図書館竹内文庫、東京芸術大学附属図書館、明治大学が主な所蔵機関となるが、中でも早稲田大学演劇博物館本には資料的価値の高い薄物が多く存在する。原本の閲覧は2巡ほど済ませており、東京芸術大学附属図書館本・明治大学本の複写は入手してあるため、当初の計画では旅費を多く組み所蔵機関先で諸本の校合を確認作業として行う予定であった。 しかし、「研究実績の概要」部分でCに分類した薄物はきわめて多く伝存し版面の関係も非常に複雑であるため、より正確な目録の作成を目指し複写を入手して作業を行う方針に変えた。幸い早稲田大学演劇博物館より理解を得られ、紙焼きを入手出来ることになったので、スキャナーを購入した。2月には初回の紙焼きを入手し、校合の作業は紙焼きの入手できた作品から順次進め、各版種について初刷の善本の画像をパソコンに取り込み、書誌情報を記載している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も前年度に引き続き早稲田大学演劇博物館所蔵資料の紙焼きの入手に合わせて、校合の作業を進めていく。よって、早稲田大学演劇博物館の長唄薄物の紙焼きのために複写費を組んでいる。10~11月頃にはすべての紙焼きを入手できる見通しである。長唄の各作品について、薄物の版種を整理し、版種ごとに初刷の善本を選び、その画像をパソコンに取り込み、書誌情報を記載していく。竹内文庫については大量の複写の申し込みは国立音楽大学附属図書館から受け付けない旨の返答があり、画像を取り込んだパソコンを持参して校合の作業を行う。そのための旅費を計上している。竹内文庫は筆者が長唄の薄物の整理に関わった経緯があり、約80%の薄物は閲覧済みであるため長期滞在の調査は必要ない。 おびただしい数の薄物を扱いながら目録の信頼性を確保するには、その記載内容、特に所蔵先・架蔵番号などに正確さが求められるため校正も重要な作業となる。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)