Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
この研究では高等植物の光合成アンテナタンパク質であるLHC-IIを研究対象としていた。しかし、良質な結晶を再現良く得ることは困難であった。そこで、LHC-IIと同様にポルフィリン環化合物を結合した膜タンパク質であるヘムA合成酵素を利用し、実験手法の確立を目指すことにした。まず、結晶化の条件を探索した。この結果、大きさが最大で20マイクロメートル程度の結晶を比較的再現良く得ることができる条件を見つけることができた。次に、得られた結晶を用いてX線回折実験をおこなった。このとき、微結晶からデータセットを収集する方法を検討した。これにより、一つの結晶から2.2オングストローム分解能のフルデータを収集することができた。この分解能は結晶サイズから想定されるよりもはるかに高く、また、反応に関わる水分子やアミノ酸側鎖を明瞭に観察することができるものである。さらに、重原子誘導体を作成し、データ収集をおこなった。得られたデータを用いて位相計算をおこなった結果、膜貫通ヘリックスを明瞭に観察できるような初期位相を得ることに成功した。しかしながら、こうして得られた初期位相は分解能と位相精度が低く、そのままでは分解能相応の構造を得るのが難しい状況であった。そこで、比較的精度の低い位相を拡張し、モデルバイアスをなるべく抑えたまま高分解能の電子密度を得る方法を検討した、この結果、ヘムA合成酵素の高分解能構造解析に成功した。今回得られた構造は新規構造であり、これまで不明であった基質結合部位の構造や、補因子と基質との位置関係といった情報を得ることができた。また、触媒残基を推定し、新規な反応機構を提案することができた。現在、成果をまとめた論文を執筆中である。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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PLOS ONE
Volume: 12 Issue: 5 Pages: e0178183-e0178183
10.1371/journal.pone.0178183