環境法における原因者負担原則と土地所有者責任に関する考察-米独日の比較から-
Project/Area Number |
15J02607
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Civil law
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
石巻 実穂 早稲田大学, 法学学術院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2016)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2016: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2015: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 環境法 / 原因者負担原則 / 土壌汚染 / 状態責任 / 費用負担 / 正義と公平 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、わが国の環境法上の原因者負担原則と土地所有者責任とのあるべき関係性を考察するにあたり、その一つの素材としてドイツを比較法の対象とした。 ドイツでは個別環境法の確立していない環境問題に対応するために警察法上の概括条項が活用されてきた背景から、警察法上の行為責任者(原因者)のみならず状態責任者をも原因者負担原則の概念の中に含むとする解釈が存在する。この考え方は、1986年のバイエルン高等行政裁判所の判決において既に示されていたし、1990年環境法典教授草案および1997年環境法典草案においても同旨の規定が置かれる予定であった。しかしながら、これらのいずれも、善意無過失の状態責任者に関しては減免責の余地を与えていた。もっとも、環境法典編纂事業は失敗に終わり、現行の連邦土壌保全法は原因者のみならず状態責任者の責任を広く規定し制限を設けていない。しかしながら、2000年の連邦憲法裁判所の決定において、状態責任が無制限であることは違憲であるとの判断が下され、善意無過失の状態責任者の責任は土地の市場価格を上限とするものとされた。したがって、ドイツ環境法上の原因者負担原則と状態責任との関係としては、前者が後者を包摂する概念であるとする解釈が有力であったが、その場合も状態責任者は減免責が認められるものとされていたし、実際に善意無過失の状態責任者に無制限の負担を強いることは違憲であるとされるため、原因者負担原則の中に状態責任が包摂されるとしても、状態責任が無制限であることは正当化されえないといえる。 以上を踏まえると、ドイツとは異なり概括条項が認められた警察法に由来するわけでもないわが国の環境法における原因者負担原則が本来的に状態責任を包摂する概念であるとはいえないため、わが国の環境法上の原因者負担原則と状態責任とは別個の概念として関係を整理する必要があるように思われる。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)