スコットランド常識学派のコモン・センスとカントのセンスス・コムニス
Project/Area Number |
15J04009
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Aesthetics and studies on art
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
山口 遥子 東京藝術大学, 美術研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2016)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2016: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2015: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | カント / 一八世紀 / 美学 / 観念連合論 / バウムガルテン / ヴォルフ / 18世紀学 / スコットランド哲学 / 文芸批評 / 常識 / 共通感覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度はスコットランド学派のコモン・センス論並びに観念連合論を中心に研究したが、 当年度は、カントの共通感覚論と、カントに先駆けて觀念連合論に言及しているヴォルフ学派の想像力論を中心に研究した。 研究の具体的成果は次の通りである。まずカント以前のヴォルフ学派の諸著作を研究した結果、ヴォルフをはじめ、ヴォルフ学派のバウムガルテン、マイアー、エーバーハルトそれぞれが「想像力の法則」として観念連合論を重視していたことが分かった。ヴォルフ学派の観念連合の定義は、観念連合の法則の「発見者」たるヒュームのそれと異なり、「部分的表象によって全体的表象が戻ってくる」ことであるが、これはバウムガルテン以降、修辞学の伝統と結びつくことになり、エーバーハルトに至ってはトロープ、シネクドキ、メトニュミー等あらゆる文彩を観念連合論によって説明する。観念連合論はしたがってヴォルフ主義の美学にとっても重要な地位を占めていたことが分かった。次に、カントの連想論を前批判期から網羅的に調査した。カントは前批判期にはヒューム的三法則として観念連合を捉えていたが、批判期に至ると独自の「親和性」という法則を着想し、観念連合を認識の条件として積極的に捉えるようになった。さらに美的理念とは、「親和性」に基づき悟性と調和して働く連想によって、概念を直感的に拡張することであり、この点でカントは美的理念論における連想の積極的役割を認めていると言える。 一八世紀美学における観念連合論は、その広範な影響力に比してこれまで十分に考察されてきたとは言いがたい。イギリスで生じた観念連合論というトポスが海を渡り、美学を生んだドイツ啓蒙哲学において独自の仕方で展開されたことを描きだした研究は未だなかった。したがって本研究は先行する 一八世紀美学史研究におけるこうした欠落を補うものとして位置づけられる。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Report
(2 results)
Research Products
(7 results)