Budget Amount *help |
¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2015: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、遷移金属四量体の分子軌道形成と、それに伴う新たな自由度と物性や機能性との相関を調べることである。そこで遷移金属カルコゲナイド化合物に注目し研究を行った。遷移金属カルコゲナイド化合物では遷移金属が多量体構造を作ることで、構造、スピン、電子軌道の自由度に起因し様々な物性が発現する。 本研究ではまず初めに、遷移金属四量体を形成する欠損スピネル化合物AM4X8 (A = Ga, Ge, Al: M = V, Nb, Ta, Mo, W: X = S, Se)を用い, 新奇物性や機能性の探査を行った。その結果、GaMo4S8では20 K付近に強磁性的な転移が観測された。また磁化の磁場依存性において低磁場で弱い異常が観測された。この結果はGaV4S8の結果に類似しており、この系において低磁場領域でスキルミオン的な特異な磁気構造が実現していることが示唆された。 次に、本研究では層状遷移金属カルコゲナイドの一種であるMoTe2とTaTe2に注目し研究を行った。MoTe2では遷移金属がジグザグにつながった1次元的鎖的な構造を持つ物質であり、TaTa2では遷移金属が1次元の2重鎖的な構造を持つ物質である。我々はこの2種類の物質を固容させ、その時の構造を変化を精密に解析した。その結果、Mo0.3Ta0.7Te2においてMoTe2とTaTe2とは異なる特異な結晶構造が出現することを明らかにした。この構造は層内構造は周期性を有するものの、層間方向の周期性に乱れを有しており、その結果、電気抵抗は1mΩcm程度と低いにも関わらず熱伝導率がガラスと同程度に低いことを発見しました。そのため、この構造が新たなPhonon Glass Electron Crystal 物質となりうることを見いだしました。
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