ケニアにおける自転車競技選手の人類学的研究―自転車、身体、環境の関係をめぐって
Project/Area Number |
15J08911
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Cultural anthropology
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
萩原 卓也 京都大学, 人文科学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2016)
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Budget Amount *help |
¥2,170,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2016: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2015: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | ケニア / スポーツ / 集団 / 身体 / 疲労 / 自転車 / 若者 / 社会教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ケニアにおける自転車競技選手を対象とすることで、自転車・身体・ケニア特有の環境がいかに関わり合い、また交渉しながら、アスリートの身体性と集団性を生成し続けているのかを明らかにすることであった。平成28年度は、平成27年度に不十分であった文献研究(東アフリカ地域研究、スポーツ研究、文化人類学におけるモノ研究)のレビューを継続的に実施し、さらに3ヶ月間の補足的なフィールド調査をケニアで行った。 とくにフィールド調査では、複数の選手のヘルメットに小型固定カメラ(アクション・カメラ)を装着し、選手の視点から彼らの練習時の経験を捉えるという、方法論的にも新たな挑戦を試みた。 個人的な出来事と思われがちな「疲れる」という身体の状態が、みんなで共有可能な経験として経験されていることを指摘した。それは、周囲の環境を接続点として、個々の出来事がみんなの出来事として身体に沈澱していくことをとおして可能になっていた。この積み重ねが、彼らを自転車競技団体の一員として、その場にまとめている要因であった。選手内には所得格差に起因した不満や嫉妬も存在するが、それでもチームの一員として生きていく彼らは、まさに身体をとおして、隣にいる他者の存在を了解していた。ここでいう身体とは、環境に埋め込まれた身体性である。ここに、モノとしての自転車との共働関係や、周囲の環境との接点から身体的経験を生態学的に捉えることの重要性を指摘した。以上の成果から、一般的に「心」や「社会性」と呼ばれているもの、すなわち道徳や道義の源基についても問うことができると思うので、今後の研究で発展させていきたい。 本研究は、いままでこのような事例が考察されてこなかった東アフリカの地域研究に貢献できた。さらに、精神論や根性論といった心の問題に結び付けられやすいスポーツにおける人間理解の相対化に、一石を投じることができた。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)