Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2016: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2015: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では新規超伝導体(Ca,RE)FeAs2(Ca112)を対象として行ったものである。Ca112は40K程度の鉄系超伝導体としては比較的高い臨界温度(Tc)を有するだけでなく、-1価のAsが導入されている等ユニークな特徴を有している。そのためCa112の研究を進めることは、鉄系超伝導体の超伝導発現機構を解明するための重要な手がかりや、新たな物質開発の指針を明らかにできる可能性のある重要なものである。 本研究の目的を達成するためには高品質な試料の作製が必要不可欠である。そのため平成27年度の研究では産業技術総合研究所の高圧合成装置を用いた良質な試料作製を試みた。高圧合成装置を用いた試料作製により希土類元素としてLa, Ce, Pr, Nd, Sm, Eu, Gd, Tbを用いてCa112相を作製することに成功し超伝導特性と希土類元素の種類の関係を明らかにした。またCa112のFeサイトに対してCoやNiなどの遷移金属元素を微量置換することによりTcや臨界電流密度、臨界磁場などの超伝導特性が大幅に改善することも見出した。 このように高圧合成法を用いることで優れた超伝導特性を有する試料を作製することに成功した。ところが、試料中には依然として不純物相が含まれているという問題点があった。そこで新たな研究方針としてREドープ量の調整を試みた。するとCa112相が超伝導を発現しなくなるほど高濃度のREをドープすることにより(30-40%程度)、単相に近い試料が得られるといった非常に興味深い結果が得られた。この結果はRE濃度が高い領域が本系の超伝導の母相であることを示唆する結果であり、新たな物質探索を進めるうえでの重要な手がかりとなる結果でもある。
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