Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
昨年度から引き続き、シクロパラフェニレン(以下CPPと略す)の自在官能基化法の確立を目指した。具体的には、CPPのベンゼン環に複数のクロムを配位させ、そこに強塩基を作用させることで、クロムが配位したベンゼン環のみ官能基化させようと試みた。複数のクロムを配位させるには、クロムヘキサカルボニル錯体よりも反応性の高い基質が必要であると考え、配位不飽和である12電子クロムトリカルボニル錯体を系中で発生させ、そこにCPPを作用させることでCPPマルチクロム錯体の合成、続く官能基化を試みた。様々な反応条件を検討した結果、CPPの複数箇所の官能基化は困難であると判断し、別の方法で官能基化CPPの合成を目指した。これまでに報告されているCPPの合成法は主に二つに分けられる。一つは折れ曲がりユニットとしてシクロヘキサジエンまたはシクロヘキサンを有するマクロサイクルの芳香族化、もう一方は、白金を角にもつマクロサイクルの還元的脱離である。前者は合成するCPPのサイズを正確に制御できるというメリットの一方で、合成に多段階を要する、というデメリットがある。後者ではCPPを迅速に合成できるものの、高価な白金を大量に必要とするため、大スケールでの実験には多額の研究費が必要となってしまう。そこで、白金のような高価な金属試薬を必要としない、安価なCPPの合成法を確立し、さらにそれを官能基化CPPの合成への応用を目指した。様々な合成法を模索した結果、最終的に既存のCPP合成法の問題点を解決し得る新たな合成法を見出した。本手法は白金のような高価な金属を必要とせず、市販の試薬からワンポットでCPPを合成できるという点で非常に優れている。また、本手法を用いれば、対称性の高い置換CPPも合成可能となると期待できる。即ち、本研究では当初予定していた方法とは異なるものの、官能基化CPPの合成手法への手がかりを掴んだ。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Angew. Chem. Int. Ed.
Volume: 54 Issue: 33 Pages: 9646-9649
10.1002/anie.201503397
http://synth.chem.nagoya-u.ac.jp/wordpress/publication/curved-oligophenylenes-as-donors-in-shape-persistent-donor-acceptor-macrocycles-with-solvatofluorochromic-properties