接続法を中心とするヴェーダ語叙法の研究──文法研究と思想研究の融合を目指して──
Project/Area Number |
15K02042
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Research Field |
Chinese philosophy/Indian philosophy/Buddhist studies
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堂山 英次郎 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (40346052)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2018)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2018: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2017: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2016: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2015: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 接続法 / 叙法 / リグヴェーダ / パーニニ文法 / 一般言語学 / 伝統文法 / アヴェスタ |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は本来本研究の最終年度であったが,昨年度生じた研究の遅延から,1年間の延長を申請する一方で,昨年度生じた問題の解決に多くの時間を割いた。すなわち昨年度は,1)インドの伝統文法(パーニニ文法)における接続法の扱われ方を,想定していたよりも詳細に調査・分析しなければならなかったことと,2)接続法その他の叙法の機能を考察するために,「文」や「節」といった概念を,一般言語学的視点を含め根本的に見直す必要が生じたこと,の2点が指摘される。いずれの問題に対しても昨年度から準備を行ってきたが,2018年度は,1)に関して,パーニニによる接続法及びこれに大きく関係する希求法の機能の規定と,ヴェーダ文献からの用例とを用いて,パーニニがヴェーダの接続法をどのように理解していたかについての可能性を指摘する発表を行った。現在,これを改良して英文の論文を執筆中である。また2)については,この問題を意識するきっかけとなった発表を論文の形でまとめ直す課程で,さらなる解決の糸口が得られた。この論文はさらなる査読を経て,論文集として来年度に出版される予定である。またその成果を異なる観点も交えて2019年夏の国際学会で発表すべく申請中である。 以上の作業の一方で,一昨年度から続けていた2・3人称の接続法語形についても,個々の用例の読解及びそれらのデータ化の作業を,断続的に行った。また叙法の使用を含むテキストサンプルの収集・分析も従来と同様に進めた。特に会話形式の讃歌の収集はほぼ網羅しつつあり,予想に通りこれらにおいては,他の会話形式以外の讃歌に比べて,叙法の機能が比較的鮮明であることが確認できた。 接続法や叙法全般に関するヴェーダ語,アヴェスタ語,印欧諸語及び一般言語学の先行研究の収集と分析とは,前年度までと同様に行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本課題は,当初の4年間の計画を変更し1年の延長を申請してもなお,当初の計画に比べると遅れている。理由は,昨年度の報告書及び上記「研究業績の概要」にて指摘したように,インドの伝統文法における叙法の扱いを巡る諸問題の重要性が,当初の想定を大幅に上回ったことと,接続法の機能の理解の際に,「文」や「節」といった概念をどう理解するかが極めて大きな鍵を握ることが判明したことである。特に後者については,この問題を整理しないうちは,個々の接続法の用例の分類から包括的な機能論にいたるまで研究の道筋がつけがたいことが,課題全体の速度を著しく低下させた理由である。この問題は当初の想定に入っていなかったわけではないが,当初は接続法と個々の複文構造や接続詞との間の個別問題と思われていたことが,言語構造のより深い部分に関わる現象であることが次第に明らかになったのである。その意味で,これらの問題への取り組みは本研究課題にとって必要不可欠の回り道であったともいえる。そ一方で,それらの研究は現在着実に成果になりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の予想を上回る作業のため生じた遅延を,1年の延長で完全に回復することは難しい。むしろ,それらの作業によって,接続法を含めた叙法の機能について当初の予定より根源的な議論が可能になったことを活用し,最終年度の2019年度は,これまで検討した資料やデータ(議論には十分な量がある)を,比較的小さな範囲で着実な成果に結実させたいと考えている。 具体的にはまず,本年度の研究に基づいた,伝統文法(パーニニ文法)による接続法の理解と,ヴェーダ語における「文」や「節」の概念に関する新たな理解について,現在執筆中の論文を完成させる。また後者の理解に基づいて,いわゆる「従属節」における叙法の機能とは何であるのかという問題を,その議論が最も大きな意味を持つ接続法において扱い,それを学会発表か論文の形にまとめたい。その一方で,叙法の機能の範例として会話形式の讃歌を複数取り上げ,それをもとに,接続法の多様な機能を他の叙法との関係の中で考察し,論文として発表する。この中で,叙法の文法機能の理解と文献学的理解とがいかに密接に関係しあい,かつ互恵的に進んで行くのかという,本課題の副題に掲げた問題意識を体現させたいと考える。 個々の接続法の用例の分類とそのデータ化をどこまで完全な形で終えられるかは不明だが,そのデータの分析から浮かび上がる諸問題とその考察結果を,なるべく上記の研究の中で,あるいは独立の論文等として発表したい。あるいは,この研究も含めて,上記の予定している諸論文を一冊の報告書としてまとめる形で公表することも視野に入れている。 これらの,いわば基盤的な研究が固まることによって,将来的に接続法や叙法の包括的な研究へとつながることが期待できる。
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Report
(4 results)
Research Products
(18 results)
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[Presentation] インドラが歌う2015
Author(s)
堂山英次郎
Organizer
ヴェーダ文献研究会
Place of Presentation
国際仏教学大学院大学
Year and Date
2015-10-31
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