Budget Amount *help |
¥3,100,000 (Direct Cost: ¥3,100,000)
Fiscal Year 2004: ¥3,100,000 (Direct Cost: ¥3,100,000)
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Research Abstract |
代表者は前年度に特徴的な病原性に関するデータベースは作成完了したが,今年度は病原性という曖昧な表現型にこだわるのではなく,病原遺伝子に着目し,その遺伝子群をターゲットとして比較ゲノム解析をすることで,病原遺伝子の分布や構造を明らかにしようとした.初めとして,病原性大腸菌や腸炎ビブリオ,さらには植物病原菌において代表的な病原因子として注目されている3型分泌装置(TTSS)に着目した.TTSSでは装置を構成する遺伝子群のみならず,宿主細胞に送り込まれる分泌蛋白(エフェクター)こそが病原性として重要であるが,これら分泌蛋白は遺伝子配列レベルでの相同性がほとんどなく,それら遺伝子を予測することは非常に困難であり,世界中で精力的に予測が試みられている.代表者は既知の分泌蛋白遺伝子のN末端50残基のアミノ酸頻度パターンに着目し,ゲノム全遺伝子から多次元尺度構成法(MDS)および自己組織化地図法(SOM)によりクラスタリングすることで,分泌蛋白遺伝子の予測をおこなった.病原性大腸菌O157に本方法を適用し,60個の遺伝子を分泌蛋白遺伝子候補として予測した.これら予測した遺伝子には,既知の分泌蛋白遺伝子だけでなく,共同研究者により実験的に明らかとなった分泌蛋白遺伝子がすべて含まれていることから,本予測法が極めて高いレベルにあることを示唆しており,それら以外の候補も分泌蛋白遺伝子としての可能性が高いと考えられる.このような高い精度をもった予測法は世界的にも例がない.今後は,本方法で予測した遺伝子の抗体を作成し,共同研究者により実際に分泌されているか否かの検証をすると同時に,実験で確認された分泌蛋白遺伝子情報を本方法に取り入れることにより予測精度を向上させ,他の菌種にも応用していく予定である.
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