Project/Area Number |
16038203
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
野村 一成 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80128579)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市村 晃一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50261277)
松永 悟明 北海道大学, 大学院・理学研究科, 講師 (10222308)
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Project Period (FY) |
2004 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥4,400,000 (Direct Cost: ¥4,400,000)
Fiscal Year 2005: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2004: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Keywords | スピン密度波 / 非線形電気伝導 / 分子性導体 / しきい電場 / 超伝導 / トンネル顕微鏡 |
Research Abstract |
圧力下で誘起される擬一次元有機導体(TMTTF)_2Brのスピン密度波(SDW)相において、圧力を詳細に変化させた非線形電気伝導の測定により、SDWのスライディングのダイナミクスを電子バンドの1次元性との関わりから調べた。 いずれの圧力でもSDW転移温度T_<SDW>以下の温度での電流電圧特性において、電場の増加とともにしきい電場E_Tを伴った鋭い伝導度の増大が観測され、ピン止めをはずしたSDWのスライディングが確認された。静止摩擦に相当するしきい電場E_Tの絶対値は低圧領域において、電子バンドの1次元性が小さい(TMTSF)_2PF_6に比べて相当大きいが、圧力を増加させると急速に減少した。E_Tの温度依存は試料によって多少異なるが、典型的な試料では0.3T_<SDW>近傍の温度で鋭いピークを示し、低温では急激に減少した。これに対してスライディングの動摩擦によって与えられる余剰伝導度は、0.3T_<SDW>で緩やかなディップを持ち低温で急激に増大した。一方別の試料では、しきい電場の温度変化に明確なピークは見られなかったが、0.3T_<SDW>付近から急激に減少する振る舞いは共通に観測された。これに対して、余剰伝導度は試料によらずほぼ共通の振る舞いを示した。これらの結果より、SDWのスライディングに対して、静止摩擦と動摩擦は異なるメカニズムにより与えられていることが分かった。さらにこれらの温度依存の振る舞いから、NMR緩和率より示唆される0.3T_<SDW>でのサブフェーズ移転に関連して、0.3T_<SDW>以下の温度でSDWは並進運動をし易くなることが明らかになった。このことは(TMTTF)_2X塩のSDW相において示唆されている高温域での電荷密度波(CDW)の共存が、SDWのスライディングのダイナミクスに重要な役割を果たしている可能性が示すものであり、これが1次元性の強い効果であると理解された。
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Report
(2 results)
Research Products
(8 results)