地理情報システムによる牧蓄民フラニの環境認識と移牧ルートの解明
Project/Area Number |
16710176
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Area studies
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
大山 修一 首都大学東京, 都市環境学部, 助手 (00322347)
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Project Period (FY) |
2004 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2004: ¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
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Keywords | GIS(地理情報システム) / 牧畜民 / フラニ(フルベ) / リモートセンシング / 砂漠化 / アフリカ / 干ばつ / サヘル |
Research Abstract |
本研究の目的は、ニジェールの地域経済の安定性に重要な牧畜に着目し、フラニ(フルベ)の移牧ルートを解明することにある。広大なサヘルを移牧する牧畜民フラニが、どのようなエコロジカル・ゾーンを選択し、家畜群の放牧を実践しているのか、GPS(緯度・経度測定システム)とGIS(地理情報システム)、RS(リモートセンシング)を活用することによって解明することにある。調査村において植生調査を実施すると同時に、気象観測を継続している。また、ランドサットTM-7号の衛星画像の解析と、植生の季節変化と経年変化、およびエコロジカル・ゾーンの動態を把握し、フラニの牧畜民が飼養するウシの首にGPSを設置し、1時間ごとの位置情報を記録した。2004年7月と2005年7月にはフラニのウシ放牧に同行し、草地の環境認識や牛群の管理、地名の情報などを調査した。収集した移牧ルートの位置情報は現在、GISソフトによって分析しており、ランドサットTMの衛星画像と重ね合わせることで、牧畜民のフラニがどのように草地を認識し、ウシを連れて、移動しているのかを明らかにした。これらの結果から、フラニの人びとは雨季に、片道150km以上を移動し、農耕限界よりも北の乾燥域で放牧していることが明らかとなった。村から移動する場合、牧夫は2-3日のあいだ休むことなく、ウシとともにトウジンビエ畑の小径を走り続け、農耕限界を超えようとする。その後、トウジンビエ畑がなくなると、ゆっくりと歩きながら北上し、定着するための放牧キャンプ地を探す。サヘル帯において牧畜民が雨季に移動するのは、耕作による人為的なインパクトを受けない豊かな草地を求めること、農耕民とのコンフリクトを避けることが重要な要因となっていた。とくに、家畜が耕作地の作物を摂食することによって、牧畜民のフラニと農耕民のハウサとのあいだには争いが生じる。このような争いは、ときに暴力をともなう民族間の紛争に発展する。民族間の争いを避けるため、フラニの人びとはウシをともなって農耕限界以北の乾燥域まで移動し、放牧している実態が明らかとなった。
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Report
(2 results)
Research Products
(11 results)