Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本年度は全般的に、平成16年度から18年度までの三年間の研究の総括に当てることとなった。最終的に論文の形で総括内容をまとめるには至らなかったが、順を追って過去三年間の研究内容と実績を挙げて報告することとする。平成16年度には『接頭辞be-の付加』に関して、この接頭辞による自動詞の他動詞化の決め手となる項の意味論的性質をつきとめ、論文として学会誌に発表することができた。平成17年度には『再帰代名詞による心理動詞構造の自動詞化』と他のタイプの再帰構造の間に見られる、使役主の役割を担う項の取り扱い方の相違を明らかにすることができ、このテーマについても学会誌に発表済みである。平成18年度の研究テーマとして予定していた『非人称受動態』および『接頭辞ver-』については、予定していたほど充分なデータの収集がかなわず、残念ながら論文の形にして発表することができなかった。しかしながら、この三年間の研究結果として現時点で明確になっていることは以下の二点にまとめることができる:(1)接頭辞や人称代名詞などの助けを借りて、自動詞(構造)を他動詞化したり、逆に他動詞(構造)を自動詞化する際には、構造内の特定の項が備え持つ意味論的特質、特にその典型的主体性や客体性が決め手となって、これらの構造の形式的操作が可能となること、(2)項の典型的主体・客体性は、専攻研究によって明らかにされているよりも内容的に多様であり、様々な統語的構造について意味論的な研究を進めるに当たり、それらも考慮する必要があること。さらに来年度以降の研究テーマとして掲げている『ドイツ語における進行形』に相当する形式が成立するための条件とその使用がロマンス言語にくらべて抑制される根拠を明らかにするための準備も進めることができた。
All 2006 2005
All Journal Article (2 results)
機関誌『二ダバ』(西日本言語学会編) 35号(未定)
120006878603
西日本言語学会編 機関誌 『ニダバ』 第34号(未定)