共同不法行為における損害賠償責任ルールの経済学的視点による分析及び構築について
Project/Area Number |
16730098
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Economic theory
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
越野 泰成 琉球大学, 法文学部, 助教授 (20284937)
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Project Period (FY) |
2004 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2005: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 共同不法行為 / 責任ルール / 法と経済学 |
Research Abstract |
本研究は,薬害事件で指摘されているような共同不法行為の効果の問題点に注目し,責任の所在と損害負担方法を明確にする損害賠償責任ルール(以下,責任ルール)を経済学的効率性の視点から分析・考察し,社会的に望ましい責任ルールの提言を目指すものである. 平成16年度では,まず越野(1999)を一部拡張し共同不法行為におけるいくつかの責任ルールの効果の考察を行った.市場占有率によるルールでは,各企業の注意水準と財の生産水準ともに社会的に最適な水準を下回ることが示された.また生産水準と注意水準の両方に依存した責任ルールと懲罰的なルールでは,ともに各企業の注意水準が社会的に最適な水準になり,それゆえ社会的総余剰を改善することになり,ともに市場占有率によるルールよりも望ましいことが示された.しかし前者のルールは制度運営費用がかなり大きくなり,後者のルールは各企業が過大負担となることが予想され,責任ルール適用に際しては,これらの点も同時に考慮する必要があることもわかった. 平成17年度では,以上の結果をもとに,さらなる展開を試みた.越野(2006)では同様に4つの代替ルールの効果の考察を行った.各企業の注意水準と財の生産水準に与える影響はほぼ同じであったが,負担率をより減少させた懲罰的責任ルールを導入することで,より望ましい責任ルールを提言できる可能性が指摘できた.さら環境経済学の分析視点より,長期への影響への考察も試みた.結果としては,同様に懲罰的責任ルールを導入することで,より望ましい責任ルールを提言できる可能性が指摘できた. 最後に,共同不法行為の要件と結果をモデルに導入し考察することが不十分であり,今後の課題としたい.
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)