走査トンネル顕微鏡を用いた単一分子の電気伝導特性の評価
Project/Area Number |
16750022
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Physical chemistry
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Research Institution | Tohoku University (2006) The Institute of Physical and Chemical Research (2004-2005) |
Principal Investigator |
片野 諭 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (00373291)
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Project Period (FY) |
2004 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥3,800,000 (Direct Cost: ¥3,800,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Keywords | 分子エレクトロニクス / ナノエレクトロニクス / 走査トンネル顕微鏡(STM) / 走査トンネル分光法(STS) / 電気伝導度 / 単一分子化学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、分子ひとつひとつを識別可能な走査トンネル顕微鏡(STM)を用いて単一分子の電子状態および電気伝導を観測し、分子内および界面における電子の振る舞いをアトムレベルで明らかにすることである。ターゲットとする有機分子を選ぶことにより、電気伝導を担う要素を分離し単一分子内の電子の流れを捕らえ制御することが可能になると考えられる。本年度の研究において以下の事項を明らかにすることができた。 (1)剛直三脚分子の構造制御および電子状態の解明 Au(111)表面に吸着させた剛直三脚分子の吸着構造および局所電子状態をSTMを用いて明らかにした。頭部をBr基で修飾した三脚分子は特徴的な自己組織化単分子膜を形成することが分かった。この構造は、隣り合うS原子の分子間相互作用により安定化され、さらに隣接分子のメチレン基の幾何位置により光学活性構造を誘起することが分かった。また、頭部をフェロセン誘導体で置換した三脚分子は、Br置換体と同一構造の自己組織化単分子膜を形成した。これは、アダマンタン位における分子間相互作用により吸着構造が規定され、その構造が頭部の修飾基によらないためであると考えられる。さらに、走査トンネル分光(STS)法によりBr置換体およびフェロセン置換体の電子状態を明らかにした。Br置換体はフェルミエネルギー近傍にピークを有さないのに対して、フェロセン置換体のスペクトルには分子のHOMOおよびLUMOに帰属される明瞭な共鳴ピークが検出された。トリチオールアダマンタンを骨格とした三脚分子は、吸着構造を保持したまま単一分子の電子状態を任意に制御できる可能性を有することが本結果から示唆された。
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Report
(3 results)
Research Products
(6 results)