高分子固体電解質膜における多重パーコレーション構造の構築とその固定化に関する研究
Project/Area Number |
16750189
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Polymer/Textile materials
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
則末 智久 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助手 (40324719)
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Project Period (FY) |
2004 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥3,100,000 (Direct Cost: ¥3,100,000)
Fiscal Year 2005: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2004: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
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Keywords | 高分子ゲル / 固体電解質膜 / 原子間力顕微鏡 / 架橋 / ヘテロポリ酸 |
Research Abstract |
燃料電池へ適応可能な固体電解質膜の例として、"フッ素樹脂系電解質膜"、"スルホン化コポリマー膜"、"伝導体をドープしたハイブリッド膜"などが挙げられる。高性能電解質膜を得るために、膜中に少しでも多くのイオンを導入する事が望まれるが、化学構造の修正による性能向上はすでに限界と言われており、根本的にメカニズムの異なる電解質膜の構築が望まれている。また、膜の繰り返し使用に対する劣化や、膜が膨潤する事に伴う燃料の漏れなどが問題となっており、このような要求から架橋の導入は必要不可欠と言われている。そこで本研究では、ナノ領域のイオンチャンネル構造に加えて、ミクロン領域に及ぶ相分離や架橋構造を二重に制御し、新しいプロトン伝導材料の開発とその精密解析を行う事を本研究の目的とする。 テトラエトキシシラン(TEOS)を代表とするアルコキシシランモノマーおよびその誘導体は、適当な触媒および溶媒存在下でゲルを生成する。ここでヘテロポリ酸の一種であるリンタングステン酸(PWA)を触媒として用いると、PWAが高いプロトン伝導性を有するため、得られる膜はPWAを担持した高プロトン伝導膜となる。PWAそのものが高い伝導性を有し、ナノオーダーで配位したイオンチャンネルを形成するが、それに加えて本研究ではサブミクロンオーダーのイオン伝導構造の構築を目標として研究を行ってきた。複雑系材料のミクロ構造はその名の通り、非常に解析が困難である。そこで本研究では特に、材料の形成過程における構造体の逐次特性化をめざした。本系は、架橋を伴う反応誘起相分離系であり、反応段階における微妙な濃度、温度、イオン伝導体導入量、溶媒の種類等が最終物性を大きく左右する。ナノ域、サブミクロン域の構造を原子間力顕微鏡(AFM)や小角X線散乱を用いて調べ、これらの構造形成の由来を、動的光散乱やAFMを応用した独自の反応場解析により調べた。その結果、イオン伝導体をより多く粒子内に含む構造体の成長プロセスを定量化でき、逆に機能性分子が漏れ出される反応プロセスを区別することができた。この課題により、ナノ域のチャンネル構造はもちろん、他の階層領域の構造形成に関する知見が得られたので、今後この手法を用いて様々な材料開発が産官学で行えるようになると期待できる。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)