Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
目的検診受診者の受診時におけるHCV及びその治療や検診に関する知識、不安などについて明らかにすることを目的とした。方法調査は2005年11月から2006年11月に、調査協力の得られた関東H市のHCV検診で行った。自記式調査票により属性(性・年齢・職業など)、C型肝炎に関する知識、および検診結果やC型肝炎の進行想定下での効用値などについて調べた。C型肝炎に関する6健康状態の効用値は、Visual Analog Scale(VAS)を用いて測定した。結果HCV検診受診者1,047名のうち、調査への参加に同意し、性・年齢で欠損データのない503名を分析対象者とした。C型肝炎の知識に関する正答率は「年齢が高い人ほど感染者が多い」19.5%、「昔うけた大きな手術には感染の恐れがある」58.5%、「長期間の血液透析には感染の恐れがある」33.7%、「ボディピアスや入れ墨には感染の恐れがある」29.9%、「現在、輸血による感染の恐れはほとんどない」23.0%であった。各肝炎状態に対するVASによる評価を平均値で示すと、現在の健康状態が76.3(SD;16.1)、陰性結果による安心感84.3(SD;16.5)、陽性結果に対する不安感35.6(SD;24.2)、軽度の肝炎状態33.8(SD;23.4)、重度の肝硬変状態19。1(SD;21.0)、副作用状態25.8(SD;23.0)であった。考察・まとめC型肝炎に関する知識を問う問題の正答率から、リスクへの知識が十分に高い者が検診を受けているとは考えにくい。各肝炎状態に対するVASによる評価を見ると、陽性結果に対しては、強いショックを受けることが示された。肝炎の進行に伴い、生活の質が大きく落ち、副作用に対しても、生活の質に対する影響が強いと推定することが示された。