Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
通常のC57BL6Jマウスにフットショックストレス(全身性、心理ストレス)を負荷することにより、皮膚肥満細胞の脱顆粒が有意に増加し、それがSubstance P(SP)受容体拮抗薬、Nerve growth factor(NGF)受容体拮抗薬、corticotropin releasing factor(CRF)受容体拮抗薬で阻止される現象を確認している。そこで、フットショックによって皮膚肥満細胞の脱顆粒(肥満細胞活性化)が増強することに対してSPがどのように関与しているのかを検討するため、活性化肥満細胞数、皮膚に分布するSP陽性神経線維数の変化を検討した。またELISAにて、SPの蛋白量を測定した。さらに、SPの前駆体であるpreprotachykinin A(PPTA)のmRNAの発現について、real time RT-PCR法を試みた。その結果、SP陽性神経線維数、SP蛋白量は、フットショックストレス群がコントロール群に比し減少する傾向を認めた。このことは、SPは組織中に放出されると、ただちにNEPやACEといった蛋白分解酵素によって分解されるため、ストレスによりSPが放出されるほど、その組織中の蛋白量は減少することが示唆された。mRNAの発現については、双方に有意差は認めなかった。このことは、今回、ストレス負荷直後の検体を使用しており、mRNAの発現までには至らなかった可能性も考えられ、今後慢性的にストレスを負荷し、皮膚局所でmRNAの発現が見られるかどうか検討する予定である。