Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
歯科口腔外科、整形外科領域において骨量が不足する疾患に遭遇することは珍しくない。これら骨欠損に対する再生医療として注目されているのが、骨髄細胞を採取し培養系で増殖させ骨芽細胞に分化させた後、生分解性の足場に播種して三次元培養して移植する方法である。本研究ではこれら骨髄細胞とは異なる、骨膜細胞を細胞ソースとして活用し骨組織を誘導する方法、すなわち培養骨膜による骨再生を目指して行った。骨膜細胞シートの作製は東京女子医科大学先端生命医科学研究所が世界にさきがけて開発した温度応答性培養皿を活用した。本年度の実験は前年度行った実験の延長として、実験動物骨欠損モデルへの培養骨膜シートの移植実験を主に行った。雄8週ルイスラットの頭頂骨より採取した骨膜を酵素処理後初代培養を行い、継代2代目骨膜細胞を温度応答性培養皿に播種した。コンフルエント後、酵素を使用せず低温処理のみで回収した培養骨膜は、フィブロネクチンなどの細胞外マトリックスが保持されているのを確認できた。これら培養骨膜シート中にはALP染色により青紫色に濃染する骨芽細胞様細胞を多数確認できた。続いてこの培養骨膜シートを、ルイスラット頭頂骨に作製した直径6mmの骨全層欠損モデルに移植し、μ-CT(東陽テクニカ社、sky scan 1076)で評価をした。このμ-CTの最大の特徴は、実験動物を局所麻酔下で生きたまま観察でき、継時的な組織の再生過程を観察できる点である。移植実験はコントロール群と、移植群の二群にわけて行い評価した。コントロール群では骨再生が周囲辺縁骨から起こり、徐々にその欠損面積を減少させるのに対して、移植群では、辺縁骨と連続性のない欠損中心部より異所性に再生骨が出現し、継時的に増大する様子を確認することができ、昨年行った実験を裏付ける結果となった。また培養骨膜シートの分子生物学的解析を、培養条件を変えた四群にわけて行い、現在結果は解析中である。本申請研究期間終了後も、引き続き行う予定である。