Outline of Annual Research Achievements |
○研究目的 : 本研究の目的は, ふしづくりの系統的・段階的な指導が, 子どもの学ぶ意欲や音楽の基礎的能力の向上にどのように影響するのかを検討し, 音楽科授業における指導法の開発を行うことであった。 ○研究方法 : 次のような方法で研究を行った。①「ふしづくりの教育」の歴史や経緯について, 先行研究や文献等を整理する。②1960年代当時の岐阜県吉城郡古川町古川小学校の『ふしづくり一本道―基礎能力を培うために―』の中にある「ふしづくり指導計画一覧表」を再検討し, 現代版として対応できるものを作成する。③作成したものを, 小学校1年生, 2年生, 6年生の音楽科の授業の中で活用し, 実践を記録する。④児童の学習への意欲及び音楽の基礎的能力を図るテストを実施し, 「ふしづくりの教育」導入前後の変容を見取る。 ○研究成果 : 本研究の結果, 「ふしづくりの教育」を取り入れたことで, 児童の音楽の基礎的能力が全般的に高まったこと, 及び児童の音楽づくりへの意欲や主体的な学びに向かう姿勢の高まりが一部認められたことを, 成果として挙げることができる。その要因として, 「ふしづくりの教育」の次の3つの特質が働いていたと考えられる。それは, ①短時間の学習で積み上げが可能であること, ②子どもたちの主体的活動が仕組みやすいこと, ③自らふしを選択し, 創作しているため, 自己の能力に合った学習ができることである。①については, 授業の導入の5~15分程度で活動が可能であるため, 教師の負担も少なく, また子どもたちも飽きずに行うことができた。②については, 学習の方法を学ぶことにより, 子どもたちの主体的活動が増え, 発展性をもつことができた。③については, 自らふしを選択するまでの過程で, 多くの音楽ことばを獲得させておくことで, 苦手意識のある子どもでも自己の能力に合わせて主体的に創作することが可能となった。
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