Outline of Annual Research Achievements |
本研究は, 中学校1年生「関数」領域において, アクティブ・ラーニングの一形態として, 「子どもたちによるレポートの査読評価活動*」を取り入れた授業実践・評価を行い, 授業モデルの提案を行うことを主目的として遂行した。 ※本研究では, 査読評価活動を「グループで作成したレポートに対し, 他のグループから不十分な点を指摘させる相互評価活動であり, 研究者が行う査読を模して行う活動」とした。 本研究ではまず, 「教育の強靭(じん)化に向けて」, 二宮(2015)に照らし合わせ, 本研究におけるアクティブ・ラーニングの構成要素を定めた。その上で, 中学校1年生を対象とした全5時間の授業を構成し実践した。授業では, 関数のグラフの形状等について, 山田(2015)の手法を用いて空欄補充型の問題提示を行い, 「本当に○○か」という視点でレポートを書かせた。そのレポートに対し, 相互に査読評価活動を行わせ, その結果をもとにレポートを再構成させた。授業分析では, レポート分析とアンケート調査を行った。アンケート作成においては, 本研究におけるアクティブ・ラーニングの構成要素とも整合的である松下・京都大学高等教育研究開発推進センター(2015)の整理をもとにしてアンケート項目を構成した。 分析の結果, 査読評価活動がアクティブ・ラーニングとして概ね十分に作用することを明らかにできた。また, 査読評価活動において生徒の発達段階による差異を見出すことができた。さらに, 論証指導がまだ十分でない中学1年生はまだ「よい証明」とはどういうものであるのかが個々の中で固まっていないため, 数学的でない評価やレポート改編が行われる可能性があることを指導時の留意点として指摘した。 なお, この研究の成果は日本数学教育学会第99回全国算数・数学教育研究(和歌山)大会で発表予定である。
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