Outline of Annual Research Achievements |
1. 研究目的 : 次期学習指導要領改訂に向け, 子どもたちがグローバル化社会を生き抜くための「資質・能力」を重視した教育課程の編成, より主体的・協働的に学ぶ学びの在り方への転換, ならびに理科学習への意欲や意義の実感向上が喫緊の課題とされていることを本研究の背景とし, これらの解決をはかるべく, 初等教育段階の子どもたちが, さらに主体的・協働的に科学的事象を探求していく場の設定と工夫の必要性に目を向けた。特に, 身のまわりの事象に対し関心が高く, かつ, アニミズム的に思考する傾向がある低学年期の子どもだちの学びの在り方を工夫することにより, 中学年期以降, より科学的事象に関心をもち, 科学することのおもしろさや科学の有用性を実感していくことが可能となるのではないかと考え, 「アニムズム的思考」から科学的思考への穏やかな移行を促すカリキュラム試案を開発することを, 本研究の目的とした。 2. 研究方法 : 「アニミズム的思考」から科学的思考への穏やかな移行を促すカリキュラム試案の要素を, 6歳の子どもの姿(2015K大学附属小学校第1学年)と, これまでの取り組みから, 研究仮説として設定した。研究仮説は, 「①“なぜ”を大切にした個別追求型の単元構成・展開」, 「②「たとえ」表現を用いた, 科学概念の表現・共有」の2要素とした。この2要素を各単元の中に位置付け実践し, 「子どもの姿」をもとに効果検証した。「科学的リテラシー」の獲得度合いを測る事前調査と事後調査も行った。 3. 研究成果 : 研究仮説として設定した2要素に対して, 見られた効果について述べる。 【要素①】第2学年(7歳)において, 単元「ゴムパワーとあそぼう」を実施したところ, ゴムの特性に気付き, 特性を活かしたあそびをつくりだそうとする姿が多く見られた。なかなか特性を活かしたあそびをつくりだせずにいた子どもも, 目の前で生じる現象にこだわり, 何度も見たり, 触ったり, 試したりしながら, 自分なりの考えを深めていこうとしており, 主体的に科学的事象を追求していこうとする姿が見られるようになった。 【要素②】実施当初, 低学年期の子どもたちにとって, 物事を何かにたとえて説明することは, 難しい様子であった。しかし, くり返し取り組んで行く中で, 目の前の事象を「○○みたい」と表現し, 友達の表現を受けて, 「あ~, 本当だ! 」と会話しながら, 解決に向け, 協働的に活動する姿が見られるようになった。概念の共有において有効であった。
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