Outline of Annual Research Achievements |
中・高生が自ら天体の観測を行い, 得られたデータの処理を通して, データ取得, 分析, 考察を科学的に行う技能を身につけさせることが本研究のねらいである。 そのために, 身近な機器になりつつあるデジタル一眼レフカメラ(以下デジカメとする)を観測に用いた。まず, レンズの前に回折格子を取り付けた市販のデジカメで, 流星の分光観測を行った。観測の確率を上げるため, 各流星群の時期に観測を行った。 平成28年度は, 中・高生5名が合同で計6台のデジカメで観測を行い, みずがめ座η, ペルセウス座, しぶんぎ座流星群の時期に, のべ約65000枚した。 成功した画像データは1つだったが, 3次光まで写った状態の良いデータが得られた。分析の結果, それぞれの輝線は, Na, Mg, Si, O, Fe由来と見られた。 以上の内容について, 日本地球惑星科学連合(JpGU)2016大会高校生セッション, 1月の日本天文学会ジュニアセッション, 日本地球惑星科学連合(JpGU)2016大会高校生セッション, 及び2017大会高校生セッション等で中・高生が発表を行い, 他校の生徒及び研究者等と議論し, 観測方法や解析方法についての助言をいただくことで, 研究の改善につなげることができた。 実践を行った宮城県大崎市は, 大学などの研究施設からはほど遠い場所にあり, 中・高生が専門的な科学研究を行う上で決して恵まれた環境とは言えない。しかし, 本実践により生徒が, 比較的入手しやすい機器を用い, 自らの手でデータを取得し, 一連の研究活動を行い, 継続することができており, 本実践研究は同様の環境にある他の地域でも再現可能である。 以上のことから, 本実践研究における一定の成果が見られたと考え, ここに報告する。
|